「どうして私を選んだの......?」二股されてた彼女が本命になれた理由とは
よーし、撮るぞ〜!
ウフフ、もっと寄らないと2人が入らないよ〜?
ハイ、チーズ!
ヘリの中って、意外と揺れるから写真ブレちゃうね。
でも、これも良い記念だね!
人物紹介:しんや
無類の女好き。見栄っ張りで、周囲には自分のことを金持ちと見せかけているが、実は貧乏な一般人。今日は、しおりに大切な話があるらしい。
人物紹介:しおり
純真無垢な女の子。しんやには別の彼女がいることは知っていたが、それを仏の心で許してきた。しんやの本命の彼女になれる日を夢みている。
私、ヘリに乗るの生まれて初めてだから、すごく楽しみだよ。
これから日が暮れて、東京の夜景が見られるようになるよ。
...ねぇ、どうしたの? いきなり夜景デートに誘うなんて。嬉しいけど、なんかちょっと変じゃない?
ん? なにが?
だって、いつも私とデートする時ってデパ地下とか図書館とか、そういう所ばっかりだったじゃない。
動物を見に行こうって言われて、動物園かと思ったらペットショップだったこともあったし。ジビエ料理を食べさせてくれるって言うから期待してたら、ハトを追いかけさせられたこともあったわ。
楽しい思い出ばかりじゃないか。
しんや、お金に困ってるのかなって心配だったんだけど。
まぁ、いっか。今日はしんやに任せる。
うん。今日は思いっきり楽しもうよ!
わあ〜! すごい高いところまできたね。 私、「高い」ところとは無縁だったから、すごく新鮮。
............。
日が暮れてきたね。
夕焼けがすごい綺麗だね〜
夜になったね。
私たち、かれこれ何時間ヘリの中にいるんだろうね。
パイロットの方、一度もこちらを見ない。プロ根性を感じる。
あ、しおり。見て!
きゃ〜!? すっごい綺麗〜! 東京の夜景ってこんなに綺麗なんだね。
この夜景をキミに見せたかったんだ。
ありがとう、しんや。私、嬉しいよ。
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素晴らしい夜景だったね。ヘリをチャーターした甲斐があったよ。
うん。とても楽しかった!
...............。
...............。
しおり。愛してるよ。
...............ウソ。
私、知ってるもん。しんやには、ずっと付き合ってる別の女がいるってこと。
...............。
今日はなんなの? ご機嫌取りのつもり?
.........いや、そんなつもりじゃない。
たまに優しい顔を見せれば、ずっとアナタになびくとでも思ったのかしら?
違う!!! 俺は今日、しおりに伝えたいことがあって!!!
伝えたいことって?
色々と検討した結果、前の女との関係を解消し、しおりに乗り換えようと思ってるんだ。
......え? 私に乗り換える?
そんな簡単に乗り換えるとか言わないで。私は馬じゃないのよ!?
正直、しおりと真剣に付き合うことに関して不安があったのは事実だ。でも、今は迷いがない。
しおりのことを詳しく知れた今だからこそ、そういう決断ができるんだよ!!!
俺は今日、しおりに乗り換える! しおりのことしか見えないんだ!
...............。
嬉しいわ。乗り換えてもらえるのが。
いつになったら私を本命にしてくれるのかと思っていたけど、ようやくこの日がきたのね。
今まではキミの魅力に気がつかなくてゴメン。これからはずっと一緒にいよう。
オフコースよ。
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さあ、どうぞ。キミのために用意したVIPルームさ。
わあ。素敵〜!!!
この花を僕たちが出会って5周年の記念としてキミに贈ろう。
......ありがとう。私、しんやのこと信じていいのね?
キミの瞳に乾杯。
そのセリフ、マジで言う人いるんだね。
.........私を選んでくれてありがとう。
でも、どうして急に? 今まで私はずっと「パートナー候補どまり」だったのに。
キミに抱いていたイメージが、僕の思い込みだってことに気が付いたんだ。
キミのようにお金があまりかからない女は、やはりサービス内容もそれなりなのかなって心配してたんだ。
なにそれ? サービス内容って?
やっぱり、たくさんお金をかけた方が良いサービスが受けられるのかなって思ったんだけど、キミもしっかり僕に尽くしてくれるし、サービス内容には不便はないと感じたんだ。
あと、僕が出張で北海道とか沖縄に行った時もついて来てくれた。都心から離れたらついて来てくれないかもって思っていたけど、そんな心配は無かった。
私はアナタがいるところなら、どこにでもついて行くわ。日本全国、あらゆるエリアをカバーするの。
しおりと一緒に過ごすようになってから、毎月の出費が減るようになったんだ。
まぁね。私の魅力はお金がかからないところ、なんでしょ?
もっと素直になるべきだったね。お金がかからないっていうのは単純に素敵なことなんだって。
毎月のランニングコストを減らすことで、お金を貯めることができるからね。それを積み重ねることで、やがてヘリコプターに乗ることもできる。
しおりに対するネガティブなイメージは、僕の勝手な思い込みだったんだ。今はキミの魅力に気がつくことができて最高な気分さ。
嬉しい。地道にアピールを続けて良かった。
でもね、しんや。残念だけど、私にはもう時間が無いみたい。
最後にアナタとデートができて良かったわ。
......しおり!?
これでお別れよ...... だけど、私はいつまでもアナタのそばにいるから......
しおり!? 何を言ってるんだ、しおり!!
今日は......... とて...も...... 楽し...かった......
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さよ......... な...ら......
しおり!!! 待ってくれ、しおり!!!
しおり、俺を1人にしないでくれ!
安心......して...... いつも側に.........いるから......
また......アナタに...... 会いたい......
しおり!!! しおり!!!
しおりーーーーーーー!!!!!!
こうして、しおりは元の姿(SIMカード)に戻った。 SIMの神様が特別な力で、しおりを人間の姿に変えてくれていたのだ。 しおりは「BIC SIM」という格安SIMサービスの良さを僕に教えてくれた。ずっと大手キャリアのサービスにしか目を向けてこなかった僕に、新しい可能性と選択肢を与えてくれた。 月々のケータイ代も数千円台に収まるようになり、今はしおりにとても感謝している。
「BIC SIM」と出会う前は、わりとガチで月々1万3千円ぐらい払っていたから。(実話)
人間の姿のしおりはいなくなってしまったけど、寂しくなんかない。僕のスマホには常にしおり(SIMカード)が挿入されているんだから。
フォーエバーラブ・しおり。
これからもよろしく......