特集
2019.08.06

ドローンにスマホが欠かせないって知ってた? 専門家にドローンの使い方や規制について聞いてみた

みなさんはドローンの空撮動画を見たことがありますか?

※ Dアカデミー関東埼玉校のJUN11(じゅん11)様より許諾いただき、掲載いたしました。ドローンスクールのほか、『ドローンテクニカルファクトリー川越』も運営されています。

地上から上空まで一気にヒューンと飛び上がり、どこまでも見晴らしのいい景色が広がります。見ているだけで、なんだか感動しませんか?

しかし、ちょっと前まではこうした画像は気軽には撮れませんでした。これを可能にしたのが、ドローン。最近では映画などで風景を撮影する用途以外にも、建設業界を中心にビジネス的な活用例が増え、ドローン業界も広がりを見せています。

さらに、ドローンそのものも進化を続けており、1万円前後で買えるホビーモデルも登場しているとか。手軽に購入できるようになったドローンですが、まだ一般人の私たちからすると、わからないことも多いですよね。「お祭りの様子を撮影していた人が逮捕されたって聞いたけど、法律があるの?」「Twitterでドローンの撮影映像を見たけど、自分でも撮れるの?」「スマホで操作できると聞いたけど、どこのスマホ?」など、疑問は尽きません。

特に気をつけたいのが、法律や規制。公園でドローンを操縦して逮捕された人もいるので、飛ばす際には注意が必要です。

このように、実はドローンにはまだまだ知られていないことや誤解されていることも多いと思います。そこでドローンの専門家にお話を聞きに行きました。

ドローンの専門家・Dアカデミーの依田さんにインタビュー

今回お話を伺うのは、Dアカデミー(D-ACADEMY)というドローンスクールの代表、依田さんです。

ドローンスクールの代表、依田さん

依田健一さん
DアカデミーJUIDA認定メイン講師(Dアカデミー株式会社 代表)。国土交通省主催EE東北全国UAV競技会優勝チームリーダー。ラジコン歴40年のベテラン操縦士で、技能を活かしてドローンの操縦指導を行なっているそうです。

また、インタビューには、たまたま遊びに来ていたDアカデミー卒業生の田中寛さんにも同席していただきました。

Dアカデミー卒業生の田中寛さん

田中寛さん
Dアカデミーのスクール卒業生。愛用しているドローンは、DJIのMavic

ここからは、依田さんと田中さんに「何を用意すればいい?」「規制や法律の詳細は?」など、ドローンの気になるポイントを伺っていきましょう。

すでに活用は始まっている、気になるドローンの未来とは?

-最近は、映画やテレビでもドローンを使った撮影が増えていますね。今後はドローンでどのようなことができるようになるのでしょうか?

依田健一さん(以下、依田):映画やドラマなど映像作品以外でも、建築でも活用が始まっています。たとえば、ビルのメンテナンス時は劣化した箇所の確認が必要なんです。今までは数千万円かけて足場を組んで人による点検をしていたのが、ドローンでの点検が可能。測量にも活用されていますし、楽天が横須賀の猿島へのドローン配達の実証実験がスタートしました。じきにドローンが宅配便代わりとして、物を運ぶようになるでしょう。

ドローン

-未来の世界に近づいていますね。将来的には電話回線で操縦できるようになるという噂を聞いたこともあります。

依田:その動きはありますが、まだ実装はされていないですね。また実現すれば撮影したデータを素早く送ることができるようになります。2020年には5G回線がスタートするので、さらに大容量のデータが送りやすくなります。ドローンで撮った大量の画像をサーバーに転送したり、高画質の映像データを送ってAIで処理とかビックデーターをクラウドで管理したりと可能性は無限大です。

-スマホは操縦ではなく、その周囲での活用になりそうですね。

依田:実はドローンの活用はこれからです。できることの具体例が出始めた段階なんです。海外では遭難者の捜索にドローンが活用されています。今ある仕事とのシナジーが生まれて安全に安価にできドローンよって新しいサービスが生まれています。

  • 専門家が語るドローンの未来

「ドローンはこれから発展していくものであり、5Gが開始されるとさらに使い方が変わっていくはず!」

ドローン操作にはスマホが必須! 初心者向けドローンあれこれ

ドローン操作にはスマホが必須!初心者向けドローンあれこれ

-私はドローン未経験なのですが、まずはドローンを始める前に何を用意すればいいのでしょうか?

依田:ドローン本体とスマホは必須ですね。そのほかに予備のバッテリーや、ドローンを着陸させる「ヘリパッド」、周囲の風速を調べる「風速計」もあると便利ですね。

ヘリパッド ▲スクールでも使用されていた「ヘリパッド」

-スマホが必須なんですね。コントローラーとして使うんですか?

依田:ドローンは、ドローン専用のアプリをインストールして操縦するので、ある意味モニタとコントローラーの補助といえますが、スマホの通信を使って操縦しているわけではないので、厳密に言うと違うんです。

-スマホの通信じゃないんですか!

依田:そうなんです。ドローンはスマホのWi-FiやLTE回線で操作できると誤解されがちなんですが、コントローラーからのWi-Fiや2.4GHz電波を使用しています。実際にはスマホは機体の画像を受信して撮影したり、自動運転のルートを転送したりする情報処理の役割ですね。

コントローラーからのWi-Fiや2.4GHz電波を使用

-使用するスマホは、どのような機種でも問題ないのでしょうか?

依田:一般的にiPhone 6S以降に登場したスマホなら作動してくれると思いますよ。ただし、スマホに画像処理を依存するので、最新機種のほうが動作は安定します。

-スマホは最新機種のほうがいいということでしたが、初めて買うドローンはどのように選べばよいのでしょうか?

依田健一さん

依田:用途によります。自撮りに使う小型の「セルフィードローン」、本格的な撮影も楽しめる「空撮ドローン」、操縦を楽しむ「ホビードローン」、航空法が適用されない「200g未満ドローン」、そのほか業務用に使われる「大型ドローン」など、さまざまなモデルが用意されているので、やりたいことに合わせて選べばよいでしょう。

参考:ドローン比較表/ビックカメラ.com

-その中で依田さんが初心者におすすめのドローンはありますか?

依田:やはり世界最大手のメーカーであるDJIのドローンでしょうか。2006年に業界にいち早く参入し、日本でのシェア率も高いです。GPSの位置情報を利用して安全に飛ばす機能があるので、最初の1台としては、できれば5万円以上のGPS搭載モデルをおすすめしています。1万円以下のドローンもあるんですが、安い分、機能が削られていますから。
田中くんのドローンもDJIだよね?

田中寛さん

田中寛さん(以下、田中):そうですね。DJIのMavic Air というモデルを使っています。カメラも高画質ですし、安定感があります。

-スクール卒業生として、ドローンを始めるときに必要だと思ったものはありますか?

田中:必要なものではないですけど、ドローン仲間がいると続けやすいですよ。ドローンを始めると「あれ? 動かない」「設定はどうすればいいの?」など、いろいろと困ることがあります。操作のコツや、ドローン用のおすすめアプリも紹介してもらえるので、つまずいたときの良い相談役になってくれます。

  • 専門家が語るドローンの選び方

「最初の1台はやりたい目的に合わせて選ぶのが良い。ただし、安全に飛ばせるGPS搭載モデルがおすすめ」

ルールを守らないと罰金、最悪の場合逮捕も......ドローンを飛ばすときの注意点

-まずは、ドローンの操縦に免許や許可は必要なのでしょうか?

依田免許は必要ないですよ。ただし、機体の重量が200g以上の場合、規制エリアでは飛行許可が必要です(航空法による)。そのほか、「日中に飛ばすこと」「目視の範囲内で飛ばすこと」「イベント会場など、多数の人が集まる場所で飛ばさないこと」には承認申請が必要でこれらに違反してしまうと、50万円以下の罰金が科せられます(場合によっては書類送検・逮捕されるケースも)。

国土交通省「無人飛行機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」
国土交通省「無人飛行機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」より

-いろいろとルールがありますね。飛行許可を取るためにはどうすればよいのでしょう?

田中:国土交通省(※)へ申請する必要があります。空港の近く・高度150m以上の上空・DID地区(住宅密集地)での飛行と図の様な飛ばし方は申請が必要ではありますが申請をすれば可能になります。

※ドローン情報基盤システムはこちらから。

依田:規制エリア以外でも、公園や河川敷など管理者が許可していない場合は飛ばしてはいけません。ドローンに関わる法律にはほかに、個人無人機等飛行禁止法や道路交通法、小型無人機等飛行禁止法、民法207条(土地所有権)、電波法などがあり、なかなか自由に飛ばせる場所が簡単には見つからないというのが実情です。特に東京都では都立公園条例で都立公園・都立庭園において、ドローン(200g以下の場合も)の持ち込み、操縦、飛行を禁止されています。ほかの地方自治体でも条例で禁止されているところが多いようですね。

田中:ドローンを飛ばせる場所はさまざまな法律が関わってくるので、どこで飛ばせるのかを調べることができる、「ドローン飛行チェックアプリ」があります。これもスクールの方に教えてもらいました。

ドローンフライトナビ - 飛行制限確認地図
ドローン飛行チェック

依田健一さん、田中寛さん

-なるほど......。ドローンって規則がたくさんあるんですね。それを知るためにも初心者は、スクールにも通ったほうが良さそうですね。

依田:そうですね。先ほどの国土交通省への申請方法もお教えしますし。先ほどお話しした飛行許可・承認申請の中に、ドローンの操縦技術について書かなければならない箇所があります。免許は必要ないのですが、スクールを卒業すると国土交通省の申請に必要なスキルの証明になります。

難しい話はここまでにして、実際にDアカデミーの飛行場で飛ばしてみましょうか。ここなら安全に飛ばすことができます。操縦は楽しいですよ。操作したらみんな5分で笑顔になりますから。

-そうですね。ありがとうございました。

  • 専門家が語るドローンのルール

「免許はないが、航空法、個人無人機等飛行禁止法、道路交通法、小型無人機等飛行禁止法など複数の法律がかかわってくるので、ドローン飛行チェックアプリなどを使用して、規則に沿って飛ばすこと」

ドローン未経験者が実際に試してみた

ということで、いよいよドローンの操縦体験へ。機体は依田さんもおすすめするDJI社のMavic 2 Zoom。片手で持てるボディに、HDR撮影も可能なカメラを搭載した中級者向けモデルです。

Mavic 2 Zoom

筆者はドローン初操縦。体験させてもらったドローンは10万円を超えるものだったので、「失敗して落としてしまわないだろうか?」と内心ヒヤヒヤしていました。しかし、田中さんに指導してもらい操作してみると......。

おおっ! 飛んだ! そして、落ちない!

おおっ! 飛んだ! そして、落ちない!

どうやら取り越し苦労だったようです。それもそのはず、Mavic 2 ZoomGPS機能搭載モデル。位置情報をもとに、同じ場所に自動でホバリングし続けてくれます。つまり、操縦する手を離しても、落下しないということ。「安いモデルだと自動ホバリングが使えません。最初は数万円以上のGPS機能を搭載したモデルから始めたほうがいいんです」と田中さん。

操作は2本のレバーを動かすだけなので初心者でも直感的に操作できます

操作は2本のレバーを動かすだけなので初心者でも直感的に操作できます。

その後、「カメラは進行方向と合わせる」「レバーは浅く動かす」「進行方向が分からなくなったり、操作がわからなくなったら先ずレバーから指を離す」などのコツを教わると、ある程度操作ができるようになりました。

5分後にはすっかり笑顔に

依田さんがお話していた通り、5分後にはすっかり笑顔に。

ドローンの操縦は本当に楽しい!! 操作は簡単だし、指先の操作ひとつで自在に動かせます。さらにこんな写真も撮れるんです。

ドローンからの撮影

こんな広い飛行場でドローンを飛ばしていました。

上空から撮影できるので、撮影の幅も広がりそう。ラジコンヘリの時代には操縦が難しく、何台も壊しながら操縦を覚えたと依田さんはおっしゃっていましたが、今は誰でも気軽にドローンを飛ばせるようになったことに、技術の進歩を感じます。

田中さんは「私は事業開発のためにドローンを触り始めたんです。けれど、操縦していくうちにハマり、個人でドローンを所有するようになりました。ドローンの操縦って単純に楽しいんですよ。誰しも一度は体験して、面白さを知ってほしいです」とニッコリ。

ほんの少し操縦しただけで欲しくなっちゃいました

その気持ち、すごーくわかります。ほんの少し操縦しただけで欲しくなっちゃいましたから。

ドローン

今回の取材でお世話になったドローンスクールのDアカデミー株式会社が運営するJUIDA公認ドローンスクールのDアカデミー 関東本部。座学は横浜でフライトは千葉。座学2日+実技2日の4日間コースで業務での運用が可能な本格的コースから空撮など趣味の方を対象にしたDJIの教科書・DJI CAMPなどたくさんのコースがあります。Dアカデミーは北海道から沖縄まで全国17か所でやっている老舗のドローンスクールです。すでに1000人以上の卒業生がおり卒業後もアフタートレーニングが無料。取材時も沢山の卒業生が練習に来ていました。DJIの正規代理店にもなっているので、機体の購入やアフターも安心だそうです。

座学講義場所:〒246-0021 神奈川県横浜市瀬谷区二ツ橋町134番地 三ツ境自動車教習所
実技講習場所:〒292-1156 千葉県君津市萩作字打越139-1
電話番号045-520-7556

今すぐドローンやってみたい! と思ったあなたへ

ここまで読んで、「ドローンって楽しそう!」と思った人も、「意外と規制が厳しくて、ハードルが高そう......」と思った人も、まずはドローン飛行場で実際に体験してみませんか?

実は都内にもドローンを操縦できる場所があります。ドローンの飛行場として運営されている場所であれば、個人で申請などを行わなくてもドローンの運転ができます。

都内のドローン飛行場

記事で紹介した通り、ドローンは誰でも操縦できる楽しいホビー。ということで、都内で初心者講習を受けられるショップをいくつかご紹介します。

京成線高砂駅から徒歩15分のところにある屋内型のドローン飛行場。ショップを併設するほか、最新機種の貸し出しも行っており体験飛行ができる。
住所 東京都葛飾区細田 3-30-13
営業時間 個人利用は水・土日祝の10:00〜19:00、金の13:00〜19:00、それ以外の平日の16:00〜19:00
電話番号 03-5876-7533

都営新宿線・大江戸線の森下駅から徒歩5分のドローン専門店で、スクールも併設している。初回体験は500円〜と気軽に体験ができる。
住所 東京都墨田区立川2-10-10 M・吉原ビル1階
営業時間 12:00〜21:00(月・火定休)
電話番号 03-6240-2053

アクアシティお台場に出店したドローン専門店でアクセスしやすい。初心者講習会は完全予約制。出かける前に申し込みをしておこう。
住所 東京都港区台場1丁目7-1 5F
営業時間 11:00~21:00 定休日なし
電話番号 03-6362-0888

これらのお店で、ドローンの楽しさを知ったら、自分のドローンを購入してみてもいいでしょう。最初から5万円台のものはちょっと......という方に、なんと1万円前後でもGPS搭載モデルを買うことができるんです。

1万円前後のドローン

Tello(RYZETECH)

ドローン大手DJIの技術を使用しているトイドローンで、手のひらからキャッチ&リリースできる手軽さが魅力。低画質ながらカメラも付いた、航空法規制外の80g以下モデルです。

MOOVA GB450

折りたたんでポケットに入れて持ち運べるモビリティが魅力的。カメラは真下へ向けることができるので、高いところから見下ろすように撮影ができます。

最初の一台を手に入れた際は、くれぐれも飛行する場所とタイミングに気をつけて!
200g未満のドローンであれば航空法は適用されませんが、小型無人機等飛行禁止法(※)は適用されます。他にも公園条例によって許可されていない公園では200g未満のドローンでも飛行は禁止されています。まずは家の中で運転に慣れてから、飛行禁止区域を各種アプリで確認し、安全な操縦を心がけてくださいね!
(※)小型無人機等飛行禁止法

ドローンフライトナビ - 飛行制限確認地図
ドローン飛行チェック

まとめ

近年ますます身近なものになってきたドローン。最初は「難しいんじゃないの?」と思っていましたが、体験してみるととても楽しく、手軽に操縦できることに驚きました。まずは体験講習ができるお店で操縦を。魅力に目覚めたらホビードローンを購入し、極めたい方はスクールに通ってみると良いでしょう。

ドローンは安全に気をつけて、法や規則に従って使えばとても楽しいホビーです。ぜひ一度操縦してみてくださいね!

文/鈴木雅矩
撮影/黒崎健一