突然のSIMロックにより、フリーWi-Fiのみで台湾をサバイブした話。
Wi-Fiもネットもない状態で、海外旅行をしたことはあるだろうか。って、まあまあの人があるかもしれない。少し前までは、今ほどネット環境なんて整ってなかった。そう考えると、今の私の状況は珍しいことではないのかもしれない。
私は、台湾にいる。少しの仕事と観光を兼ねて台湾に来た。日本からは3時間ほどで行くことができる近い国なのに、食べ物やカルチャー、街並み、様々なものが面白くて、遊びがいのある国だ。私は台湾がすごく好きで、今回で5回目の台湾。もうこなれたもんだぜ。
海外旅行に大切なのは、ネット環境だ。私は平成生まれでネットがないと不安感に焦燥、頭痛、症状が悪くなってくると存在しないはずのWi-Fiが見えてしまうときもある。なので、いつもは海外で使えるポケットWi-Fiをレンタルしていた。
でも今回は、"海外SIM"というものを試そうと思ったのだ。スマホのSIMカードを交換すれば、現地のデータ通信を使うことができる。ポケットWi-Fiをレンタルするよりもいくらか安いのも魅力的だ。
ということで、成田空港でSIMカードを買った。予約なども特にいらず、「SIMカードください!」と言えば出してくれた。そのまま飛行機に乗って、台湾の桃園空港に到着。疲れていたので空港から台北市内までタクシーで移動することにした。タクシーでいつも使っているiPhoneをとりだし、SIMカードを差し替えると、「アクティーべートしてください」という画面がでてきた。画面の指示通りに従ってみる。すると、こんな画面が。
焦る。何度も何度も抜き差ししたが、同じ画面がでる。どういうことか、調べたくてもネット環境がないから分からない。ここでもう全てが終わったような気持ちになる。
台北に住んでいる知人の家に到着し、Wi-Fiを借りて調べてみた。
私のiPhoneはSIMフリーで、普段は格安SIMを使っている。しかし、たまにSIMフリーのiPhoneでもSIMロックにかかってしまうことがあるらしいのだ。SIMロックというやつにかかると、なんと、特定のSIMカード以外使えなくなってしまう。試しに知人のSIMカードを差してみると、同じ画面がでてきてしまった。
日本で使っているSIMのプロファイルを削除したり、いろいろやってみたがこの画面からは逃れられなかった。完全に、SIMロックがかかっている。これを解除するためには、日本のジーニアスバーに行かなくてはならないらしい。こ、こんなことが起こっていいのだろうか......! おいジーニアス!
Googleマップで検索すればいいや、と地図も持ってきてないし、ご飯食べたいときはGoogleで検索すればいいやと、ガイドブックも持ってきてない。なんか分からない言葉があったらGoogle翻訳つかえばいいや、と辞書も持ってきてないし......。私の生活はGoogleにかかっているのに、インターネットがないとGoogleにアクセスできない。砂漠の中を電気ケトルを持って歩いているようなもんだ。
今回の旅程は4泊5日。仕事の予定が1つあって、それ以外はノマドをしながら台湾を探索しようと思っていた。でも、ネットがないと怖くてホテルの外にも出られない......。迷子になったらどうしようとか、そういうことを考えてしまうのだ。ネットがないと、こんなに私は臆病になってしまうのか。
しかし、せっかくの海外旅行なのに、どこにも行かないのはもったいないし、そんなことはしたくない。フリーWi-Fiを駆使しながら、台湾でノマドをして満喫することはきっとできるはずだ。そして、この記事は台湾でネットが使えなくなってしまった人に捧げたい......。
Googleマップはオフラインでもなんとなく使える
海外旅行で一番困るのは、地図が見れないことかもしれない。安心してほしいのは、Googleマップはオフラインでも使えるということだ。ただ、一度Wi-Fi環境が必要になる。また、経路など検索機能は使えない。いま自分がどこにいるかやざっくりとした地図は見ることができる。
iPhoneとAndroidなどで使い方は異なるが、Googleマップのアプリには「オフラインマップをダウンロード」という機能がある。範囲を選択してダウンロードすると、ネット通信がなくても地図を使用することができるのだ。
詳しくはここに書いてある。
▶︎ダウンロードしたエリアをオフラインで見る
注意点としては、対応していないエリアがあるということ。私が移動していた地区(師範大学から華山周辺)は対応していたけれど、日本に帰ってきてから東京で試してみたらオフラインダウンロードの対応外だった。ちなみに、対応しているかどうかを事前に確認することはできないようだ。
台北フリーWi-Fiのワナ
台北市内には「TPE-FREE」というフリーWi-Fiがたくさんある。「おっフリーWi-Fiいっぱい飛んでんじゃん! わーい」という喜びは、「ちくしょう」に変わる。このTPE-FREEは、台北市が提供しているフリーWi-Fiなのだが、旅客は事前登録が必要なのだ。
しかも、その登録が事前知識がないとむずかしいもので、まず、iTaiwanというアカウントを取得して、台湾国内の空港に行って有効化しなければ利用できない仕組みなのだ。
もちろん私は空港を出発したタクシーの中でSIMロックに気付いてしまったので、登録していない。かなしい。台湾に行くかたは、念のため、登録しておいたほうがいいはずだ。
フリーWi-Fiのありそうなカフェに行く
スマホでネットが使えなくなったら、まず、フリーWi-Fiのありそうなカフェに向かうことを考えるかもしれない。でも、それは素人の考えだ。プロである私の経験上言わせてもらうが、チェーンのカフェのWi-Fiは登録が必要になってくる。
スターバックスがまさにそうだ。「スタバ! Wi-Fiある! わーい!」と、短絡的に向かってしまうと、とてもかなしい思いをする。私がした。電話番号を入力して、SMSで送られてきたパスワードを入力しないと登録が完了しないようなのだ。つまり、台湾国内で使える電話番号とLTE接続がないとむずかしい。
台北には「Dante coffee」というドトールのようなコーヒーショップがあるが、それも同じ仕組みだった。絶望していたら、小指の爪が折れた。不幸に不幸が重なる。重いキャリーバックを転がしながら歩いていたら、キャリーバックも壊れた。神はいないのか。
「.1Free」が希望の光
市が提供しているWi-Fiもダメ。コーヒーショップのWi-Fiもダメ。もうだんだんとWi-Fiの幻覚が見えてくるまで追い詰められてきた私であるが、台北市内に飛んでいる「.1FreeWifi」というものを見つけていた。
名前からしてちょっとうさんくさいけれど、これが私を救ってくれることになる。
このWi-Fiにつなげると、カウントダウン画面がはじまる。しばらくすると、カップラーメンなどの広告がでてくる。そして、その広告画面をクリックすると、30分間だけWi-Fiを使うことができる仕組みだ。
他のWi-Fiにくらべると速度は少し遅いが、それでもネットは使える。なんと台湾全土で5万カ所使える場所があるらしい。使える場所は、公式ホームページをみると分かる。
「.1Free」公式ページ
このWi-Fiがあることで、スマホの通信が使えない状態でもわりと安心して出歩くことができた。ただ、ずっと繋げておくことはできないので、メッセージのやりとりを頻繁にしなければいけない状況だったりすると、むずかしいかもしれない。
でも、たまにSNSをチェックしたり、行き先を確認するくらいならこのWi-Fiで十分だった。ちなみに、先ほど行ったスターバックスやDanteCoffeeでもこのWi-Fiに繋ぐことができた。
「華山1914文創園区」という場所でも使えた。ここで仕事があったので、無事に台北に在住しているクライアントと落ち合うことができた。助かった......。
華山1914文創園区は、日本統治時代に建てられた建物をリノベーションした施設。カフェやお店がたくさん入っていて、アートを中心としたいろいろなイベントが日々、開催されている。日本で言うと、横浜の赤レンガ倉庫のような歴史のある場所で、東京ビックサイトのような催しをいつもやっている感じ。いつ行っても楽しいのが魅力だ。
また、永康街という地区でも使うことができた。永康街は、有名なレストランやかわいい雑貨屋さんなどがたくさんある地区。ブラブラ歩いているだけで楽しい。
おかげさまで、台湾グルメを堪能することができた。ここは、華山1914文創園区の近くにある「銀記手擀刀切牛肉麵」というお店の牛肉麺。店の前になぜか銅像があり、店内はとてもクラシックな感じ。歴史的な写真もたくさん飾ってある。麺が太くてスープも甘くてとてもおいしかった。
ここは、中正紀念堂のそばにある「杭州小篭湯包」という小籠包のお店。とても有名なので、開店にいかないと行列ができる。すごくおいしいのに、安い。1人1000円ほどでお腹がはち切れるぐらいの量を食べられた。
台北にはWi-Fiが使えるカフェがわりとある
台北は、ノマドにとってとても居心地のいい場所だ。市が提供するフリーWi-Fiがたくさん拾えるし、パソコン作業ができるすてきなカフェがかなりたくさんある。
私が行ったのは、「515 cafe&books」という永康街にあるカフェ。ここは、カウンターにコンセントがあり、お店のWi-Fi(パスワードで保護されている)もある。そして、なんと、猫がいる!
しかも、2匹! そして、超ひとなつっこい!
仕事をしていると足元までぷらーっとくる。超絶可愛すぎて、もうWi-Fiとかそういう場合じゃなくなってくる。飲み物のメニューも豊富で雰囲気もとてもすてきな居心地のいいお店だった。トイレのほうに本棚があり、日本の漫画がズラッと並んでいる。
おわりに
海外旅行でネット環境がないとかなり焦る。けれど、台湾のおだやかな気候が、焦る気持ちを抑えてくれる。まあネットなんてなくてもいいか、みてごらんこののどかな景色を......。なんて気持ちにもなるけれど、やっぱり旅先でネットが繋がらないのは不安すぎる。
自分のスマホが、どのSIMに対応しているか事前に確認をしたり、ポケットWi-Fiを準備しておくなど、リスクヘッジは欠かさずにしておこう......。
文/藤原麻里菜