五爺の1〜4Gの時代を振り返ったら 五爺と5Gの明るい未来が見えてきた
こんにちは。ライターの観音クリエイションです。
今回はこの春より提供が始まった5Gにかけて、五爺(5人の爺さん)にご協力いただき、オンライン座談会(※)を開きました。
※今回は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、オンライン取材という形となりました。携帯電話でご参加いただいた方もいて、このような取材の形が可能になったのも、携帯電話の進化のひとつですね。
ショルダーフォンと呼ばれるアナログ携帯電話が世の中に出てきた1980年代ごろに社会に出て生きていた人たちは、そのときどのような生き方をして、どのような働き方をして、携帯電話が出てきたのか。そしてどう変化したか、生活は変わったのかなどを話していただきます。
参加者である五爺たち
長政:61歳。東京都出身。
すずたろう:58歳。神奈川県出身。
吉彦:67歳。神奈川県出身。
米蔵:69歳。大阪府出身。
マッシー:54歳。大阪府出身。
【1G】1980年代、アナログ携帯電話の登場。ショルダーフォンって当時の人は普通に使ってたの?
日本の携帯電話の始まりは、1979年に日本電信電話公社(現在のNTT)が開発した自動車電話サービス。その後ショルダーフォンという肩掛け式の携帯電話が販売されます。この時代に社会人として活躍していたみなさんは、どのような働き方をしていたのでしょうか。
―今回は「五爺」というストレートに失礼な企画にも関わらずご参加いただきありがとうございます。さて、今の携帯電話の元となるショルダーフォンが登場したのが今から約40年前の1979年。本日お集まりいただいた皆さんのご年齢から計算すると、この頃は社会人として働き始めた時期かと思います。当時、このショルダーフォンってどんな立ち位置だったのかについて教えていただけますか?
テレビのニュースでショルダーフォンの映像が流れたりしたよね。大阪万博で初めて発表されたとかで。
あー。あった気がする。月の石とか太陽の塔のほうが注目されていたからあんまり覚えてないけど。
最初のほうは「なんか存在は知っているなー」ぐらいの認識でしたねえ。
―なるほどなるほど。ちなみに皆さんの中に、この初期のショルダーフォンを使ったことある方っていらっしゃいますか?
自分では持ったことないけど、知り合いの社長が使っていたなあ。バッグみたいな感じで肩から下げて、その見た目が面白くて見るたびに笑っちゃってたのを覚えてますね。
私は初代のちょっと後に出た型を使っていましたよ。ショルダーフォンが出た当初はすずたろうさんがおっしゃったNTTの黒いのが主流だったんだけど、その後にIDO(※今のKDDI)からライトグレーのちょっとお洒落なやつが1988年の12月に出てね。「正月明けてこの電話使って仕事始めるぞ」ってタイミングだったので時期もはっきり覚えているんだけど、それを会社から持たせてもらって、営業の外回りで持ち歩いていました。
―IDOのショルダーフォンを調べてみたら重量3kg......。生まれたての子供ぐらいの重さじゃないですか。昔の営業マンはこんなの持ち歩いていたんですね。ちなみにこのデカい電話、毎日持ち歩くってことは結構頻繁に使っていたんですか?
いえいえ。経理からは「通話料が高いからここぞというときにだけ使うように」って言われてて、受注が決まりそうなときとか、相見積もり取られてもうひと押しで仕事が取れそうなときとか、使うのはそのぐらいかなあ。普段の連絡は公衆電話を使っていましたね。
―毎日持ち歩くのに使う頻度は少ないんだ......。ちなみにショルダーフォンの当時の料金っていくらぐらいでしたか?
あー、会社が全部やってくれていたから正確な金額はちょっとわかんないなあ。
私、個人で使っていたのでわかりますよ。月額の基本料金が27,000円で、通話料金が1分100円とかです。
―高い!
そんなに高かったんだ(笑)
―ちなみにマッシーさんは、どういう用途でショルダーフォンを使っていたんですか?
僕はもともとプロサッカー選手をやっていて、その後全国各地でサッカー教室を開いたり、リフティングを教えたりしてたんですよね。当時、その仕事のオファーをいつでも受けられる体制を作りたいなと思って導入しました。ちなみにその仕事で海外にも何度か行ったことがあって、イングランドで電話したときは10分話しただけで通話料金が5,000円を超えてびっくりした記憶があります。
―10分で5,000円!
今だと考えられないですよね。
―SkypeとかLINE使えば無料で会話できますもんねえ。
【2G】1990年代ポケベルやPHSが台頭
90年代になると無線技術のデジタル化が進み、第二世代通信システム(2G)が普及します。デジタル方式の採用によってメールの利用が浸透しはじめ、コミュニケーションの形も少しずつ変わっていきます。
―時は替わって1990年代。最初のショルダーフォンから10年ほどで2Gという通信システムが普及して、ポケベルやPHSが登場したのもちょうどこの時期と聞きました。ポケベルって皆さん使っていましたか?
使っていましたよ。営業職はみんな持っていたんじゃないかな。
持ってた持ってた。
―ポケベルはどういうときに使うんですか?
打ち合わせの時間変更とか、待ち合わせ場所の確認とか、そういう日常的な連絡ですね。
電話する必要があるときは公衆電話使ってね。
そうそう。今と違って公衆電話がそこらじゅうにあったから。
―PHSとか携帯電話が普及し始めたのもこの時期だと聞いたんですが、まだ公衆電話がメジャーでした?
メジャーでした。みんな公衆電話使っていました。PHSや携帯電話なんかは今ほど普及してなくて、街中で、携帯電話で話していたらちょっと注目されるぐらいで。
―高級車に乗っている人みたいな感じですか?
あーそうそう。まさにそんな感じでした。だから街中とか電車の中とかでかかってきたら嬉しかったですもん。「俺、携帯電話持っているぜ」ってアピールできて。
あったなー。自分からわざとかけるようなことはしないけど、かかってきたらお洒落な気持ちで出ていましたね(笑)
【3G】2000年代、携帯電話(ガラケー)全盛期
時を経て、携帯電話は通話だけでなく、メールやインターネットを使うためのデバイスとなりました。多くの人が日常的に携帯電話を使うようになり、利用者の通信高速化を求める声に応える形で技術開発が加速度的に進みます。2001年、それまでとは桁違いな高速データ通信が可能な第三世代通信システム(3G)が運用スタートします。
―2000年ごろに携帯電話が一気に普及したんですよね。現在35才の僕も今から20年前の2000年、15歳の中学3年生のときにJフォンのガラケーを持たせてもらった記憶があります。
あー、確かにそのぐらいから1人1台持つようになったねえ。
メールできるのが楽しくてRe:Re:Re:Re:Re:Re:って続いたりしてね。
全角64文字で収められなくて何通にも分かれたり。
懐かしいなあ(笑)
―メールが普及して、コミュニケーションの形が変わりましたよね。
うんうん。たとえば夫婦って近くにいるとありがたみがわからなくなることもあるんだけど、距離がある中で、携帯でポチポチやりとりするのが新鮮で。やっぱり好きだなあって気持ちを再確認したことを覚えていますよ。
―油断してたら突然エモい話が飛んできてほっこりしました。ありがとうございます。
―えっと、この頃は会社勤めされている方ってだいたいみんな携帯持っていたと思うんですが、ショルダーフォンの「ここぞというとき以外は使わないように」みたいなルールってありました?
いや、特になかったですね。私は霞ヶ関で役人をやっていたんですが、公私をしっかりわけるように言われたぐらいで。公務で使うものは支給されたものを使って、プライベートの連絡は自分で契約した別の携帯で、という使い分けをしていました。
うん。料金もショルダーフォン時代ほど高くはないし、会社ではよっぽどおかしな使い方をしない限り問題なかったですね。
―なるほどなるほど。ご家庭ではどうでしたか? 当時はネットを利用しすぎて、通信量が想像以上の高額になって払えない人の状態を表す「パケ死」という言葉も登場したようですが。
あー、ありましたね。今から18年ぐらい前かな。私は自分、妻、長男、次男の家族全員分を支払っていたんですが、ある月8万円の請求が来て。
―パケ死だ!
そうそう。次男がネット使いすぎたとかで高額になっちゃったみたいでね。最初だったから払ってやりましたけど、当時はちょっとびっくりしましたね。
―優しい。他に何か事件的なのあったりしましたか?
当時詐欺みたいなのが流行っていて、それもうちの次男が引っかかりそうになっていましたね。サイト見たから何十万円払えってやつ。次男が困って私のところに相談しに来たからその電話に出てやってね。「払ってやるから直接取りに来い」って言ったら来なかった。
―なんて頼りになるお父さん。っていうか次男さんがネタの宝庫すぎる。
【4G】2010年代スマートフォンが登場
スマートフォンの登場で動画や音楽を携帯電話で利用するようになり、3Gよりさらに高度通信が可能な第四世代通信システム(4G)が2015年にサービス開始となりました。「LTE-Advanced」「WiMAX2」がこれにあたります。
―今は皆さんスマホを使っていると思うのですが、どんな端末を使っていますか?
私はガラホを使っていますね。ガラケーとスマホの中間的な位置付けの端末で、中にAndroidが入っているやつ。
あっ今持ってきますね。
―はい!......あれ、マッシーさんさっきから時々フリーズしてますよね?オンライン取材あるあるですね(笑)。
お待たせしました!これです。
―ほー。なんでガラホにしたんですか?
シンプルで使い方がわかりやすいから。私の場合は電話とメールと、あとは地図や列車の乗り換えぐらいを調べられれば十分なんですよ。若い人が使っているようにあれもこれもできる高機能なスマホを持っても混乱しちゃうから、このぐらい機能が絞られていたほうが使いやすいんですよね。
私は初めて買ったスマホがiPhoneで、そこからずっとiPhoneを使っていますね。きっかけはうちの奥さんが大手キャリアでiPhoneを契約してて、「じゃあ家族割で」って半ば強制的な流れで。ただずっと使い続けてもあんまり安くないということに気づいて、3年ぐらい前に格安SIMに変えました。
―おお、まさかの格安SIMユーザー。大手キャリアから格安SIMに乗り換えるときって難しくなかったですか?
いえ全然。MNPなどの手続きは公式サイトに書いてある指示に従うだけだし、機種はiPhoneだから使い勝手も変わらない。それで料金が月に8,000円だったのが4,000円になるんだから、変えない手はないですよね。
―皆さんうまく使いこなしていて驚きました。ちなみに普段よく使うアプリって何ですか?
LINE、Google検索、メールが多いですね。
地図アプリで行き先を調べたり、Google検索から野球の試合日程を見るのがメインです。
僕が一番使う機能は動画撮影ですね。サッカーのシュートの様子なんかを動画で撮って、その場でフォームの確認をしたりします。
―おお、そんな使い方が。
同じく動画です。ちょっと乗り遅れたんだけど僕はYouTuberみたいなことをやってて。ギターを弾きながら歌っている動画をコツコツUPしています。自分がUPした動画の再生回数が増えるのが最近の喜びですね。
―めちゃくちゃ使いこなしてる......!
【5G】2020年代これから
最後は5G(次世代移動通信)サービスと私たちの生活との関わりについてお話しします。
現在提供され始めている5Gサービスでは「高速・大容量(現在の10倍、10Gbps)」「多接続(多くの機器との接続)」「低遅延(タイムラグをなくす)」が三本柱になっています。これにより、身の回りのあらゆる物が通信機能を持てるようになり、自動運転、ドローン、遠隔治療など、これまでなかった技術が発展し、生活がより便利になっていくことが考えられます。
―最後に皆さんと未来についてのお話ができればと思います。この先「スマホでこんなことができたらいいな」「通信技術が発展したらこんな未来になったらいいな」という希望や願望があればお聞かせいただけますか?
スマホのカメラがもっと発達して、医学的に応用できたら便利だと思うんですよね。自分の体をレントゲンみたいにスキャンして、悪い部位をその場で見つけて、そのままかかりつけの病院に画像が転送されて、リモートで治療できる。そうなったらいろんな人が助かると思うなあ。
僕も同じくカメラの進化に期待したいですね。たとえばサッカーだと試合の映像を撮って、その内容を具体的に分析して、選手にフィードバックして、プレイの向上に役立てる。それがAIで全部できちゃったら、サッカーに限らずいろんなスポーツのレベルが飛躍的に向上しますよ。
私は空を飛んでみたいですね。人間が乗り物に乗らずに空を飛ぶってことはまだできていないじゃない? ドローンの技術を応用するなりして、自分ひとりで大空を駆け回ってみたいねえ。
技術的に可能かどうかはさておき、過去や未来を映像化できたらいいなあと思うんですよね。過去を振り返る機会を持つことで将来に役立てたらなあと。逆にビッグデータなんかを駆使して未来を予知して、自分の行動をより良くできたらいいなあなんてことも考えますね。
リアルタイムで言葉が通訳される世界になってほしいかなあ。これだけいろんなことが便利になってもやっぱり言葉の壁ってまだなくなってないじゃないですか。なので、その問題が解決されれば、もっとたくさんの人と仲良くなれると思うんですよね。
まとめ
以上、5爺(5G)の座談会をお届けしました。
ただただ巨大なショルダーフォンから始まってポケベル、PHS、ガラケー、スマホと端末の形が変わる中で、通信回線という目に見えないサービスもアナログから2G、3G、4Gと、その方式を変え、人々の生活を豊かにしてきました。
今後、5Gが普及することで、あらゆる分野で利便性が向上していくはず。私たちの生活がより良くなる未来を楽しみに待ちましょう。
文/観音クリエイション