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特集
2020.11.11

スマホで良い写真を撮るコツってなに?プロが教えるスマホカメラの使い方【スマホカメラ特集②】

スマホで良い写真を撮るコツってなに?プロが教えるスマホカメラの使い方【スマホカメラ特集②】

スマホカメラはどんどん進化しています。シャッターボタンをタップすればまず失敗せずに撮れるし、夜景モードやポートレートモードなど便利な機能もあります。でも、せっかく高性能なカメラのスマホを買ったのに、結局自分で撮った写真はいまいちだなぁ......とがっかりすること、ありませんか?

いくらスマホカメラの機能が進化しても、大事なのはやっぱりセンス!

そこでスマホカメラ第2弾として、今回はプロのフォトグラファーである岡田佳那子さんに、スマホカメラで良い写真を撮るためのコツを教えていただきました!

<岡田佳那子さんプロフィール>

岡田さんのプロフィール画像

岡田佳那子さん

奈良県出身。 同志社大学文学部卒業後、会社員を経て、東京、NYで写真を学び、鏑木穣氏に師事。現在は、ポートレート、音楽、ファッションなど、東京を中心に、写真、動画、編集、講師など様々な分野で活動中。年に数回、大阪にて一般向け家族写真やポートレート撮影専門の【オカダ写真館】を開催している。

kana-sta.com

スマホカメラで撮影する基本テクニック

ーせっかくスマホを新しく買い替えて、これで良い写真が撮れるぞ! と思ったのですが、実際に撮ってみるとやっぱり自分のセンスはいまいち......岡田さん、どうすればいいか教えてください!

岡田佳那子(以下岡田さん):たしかにスマホのカメラは毎年すごく進化していますが、カメラの機能だけで良い写真が撮れるわけではありません。良い写真を撮るためにいくつかのポイントをおさえましょう。

ーぜひ教えてください!

岡田さん:まず大事なのは撮るときの意識です。スマホを構えて、カメラアプリを立ち上げて、そのままなんとなく撮っていませんか? それでは良い写真は撮れません。

ーぎくっ......! 何を意識すれば!?

岡田さん「人に見せる」ことを意識して、細部にまで気を配ってみてください。それだけで写真は大きく変わりますよ。

ー人に見せることを意識......しているつもりなんですが......。

岡田さん:実際の写真で見ていきましょうか。とりあえずピザを撮ってみましょう。

ーはい! 私が撮った写真はコレです!

スタッフが撮影した料理画像

岡田さん:この写真を人に見せるとき、一番伝えたいことはなんですか?

「ピザのおいしそうな見た目」です!

岡田さん:主役はピザですね。では右上にちらっと見えているコースターは関係ないので外しましょう。無駄なものが写っていると、そっちに視線を取られてしまい、伝えたいことが100%伝わりません。

ーあっ......本当だ! 撮ってるときは気づかなかった......。

岡田さん:「人に見せる」ことを意識する最初のステップは「無駄なものを写真に入れない」ことです。

再度撮影した料理の画像

ーこんな感じでしょうか。でも、なんかもうちょっとおいしそうに撮れないですかね......。

料理は困ったら"寄って"撮る! 光の当たり方に気をつけて

岡田さん:料理の写真を上手に撮りたい人が多いと思うので、まずは料理の撮影方法を紹介しますね。料理を撮るときはできるだけ寄って「一番見せたい(美味しそうな)ところにフォーカスする」と、シズル感のある写真が撮れます。お皿が写らなくてもOKです。そうすれば、自然と「無駄なものを入れない」写真にもなります。

ーたしかに!

岡田さん:それから、撮った後に明るく鮮やかに加工するとおいしそうに見えますよ。色味も大事で、暖かい料理は少しオレンジがかったフィルター、アイスなど冷たい食べ物は青っぽいフィルターをかけると料理の雰囲気が伝わります。ここまでのポイントをおさえて、たとえばこんなふうに撮ってみるとどうでしょうか。

岡田さんが撮影した料理の画像

ーお、おいしそ~~~!! 同じスマホ写真なのにぜんぜん違います!

岡田さん:ピザ生地のカリッとした感じにトロッとしたチーズがのっているのがおいしそうだったので、そこが伝わるようにグッと寄って撮りました。

ー明るく鮮やかになるだけでぜんぜん違いますね。それに、余計なものが写ってないのでダイレクトにおいしさが伝わってきます!

岡田さん:こんなふうに明るく撮るためには、撮影の環境も大事です。レストランでは同じテーブルの上でも照明によって明るさが違うので、その机の上で一番明るい場所を探して、そこで撮影するといいでしょう。

ーたしかに、場所によっては料理の半分だけ暗くなってしまったりします......。

岡田さん:料理に影が落ちるとどうしても美味しそうに撮れないので、位置を工夫してみてください。料理を明るくするために、白いナプキンやお手拭きをレフ板代わりに使うと、全体的に明るくなることもあります。ただ、光の当たり方については何が正解と決まっているわけではありません。大切なのは「どんな光で撮るとどんなふうに撮れるのか」をわかった上で写真を撮ることです。

ナプキンをレフ板代わりに使う画像

ポートレードモードの使い方

ーほかにもテクニックはありますか?

岡田さん:応用編として、スマホカメラの機能をうまく使ってみましょう。たとえば最近のスマホに搭載されているポートレートモードです。人物用と思われがちですが、料理に使うのもおすすめです。

ーポートレートモードというと背景をボカせる機能ですよね。

岡田さん:そうですね。ポートレートモードを使うとこんなふうに撮れます。

ポートレートモードで料理を撮影した画像1
ポートレートモードで料理を撮影した画像2

ーすごい! メニューの写真みたいです!

岡田さん:さっき「無駄なものを入れない」と言いましたが、ポートレートモードで「無駄なものをボカしてしまう」のもありですね。ただ、スマホのポートレートモードはグラスなど透明なものを認識するのが苦手です。グラスの縁が背景に溶けて消えていることもあります。スマホの画面で見る分にはそこまで気にしなくていいかもしれませんが。

人物写真はポジションと光がポイント!

ーポートレートモードの話が出たので、次は人物写真についてコツをお聞きしたいです!

岡田さん:人物写真も料理と同じで、まずは光と影がポイントになります。正面から光が当たると顔に影が強く落ちて、逆光だと背景が白飛びしやすいです。どれが正解ということはありません。そのときの撮るイメージに合わせて光を選びましょう。

ーやっぱりポートレートモードで撮るのが良いのでしょうか?

岡田さん:たしかにポートレートモードを使うと背景をボカせるので被写体を強調することができますね。ただ、状況に応じてF値を上げて背景を生かすのも良いと思いますよ。どんな写真にもいえることですが、あまりにも背景のボケが強すぎると不自然になってしまいます。私のおすすめはF2.8~F4くらい。ちょうど良いF値を探してみてください。

ポートレートモードで人物を撮影した画像

岡田さん:もうひとつ大事なのはカメラのポジションです。被写体に対して撮る高さを工夫しましょう。人を撮るときって、どうしても自分の目線の高さから撮ることが多いですよね。だけど、被写体に合わせて、ポジションを変えてみるといつもと違う写真が撮れます。特に子どもやペットを撮るときは、つい見下ろすような角度で撮ってしまいがち。しゃがんで目線を合わせた位置から撮ると子供の表情がよく分かる写真が撮れますよ。

旅行や風景写真は超広角レンズとパノラマ機能でダイナミックに!

ー次に旅行や風景写真のコツを教えてください!

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岡田さんがパノラマ撮影した旅行写真

▲岡田さんがニューヨークのタイムズスクエアで撮影したパノラマ画像

岡田さん:持っているスマホに超広角レンズや、パノラマ機能が付いていたら、迫力のある写真を撮影してみてください。スマホは旅や風景の写真を面白く撮れる機能が充実しているので、ぜひいろいろと使ってみてください。

旅や風景写真はストーリーを意識

また、これは旅や風景写真に限ったポイントではないですが、写真にストーリーを持たせるのもおすすめです。

ーストーリー......?

岡田さん:たとえば花火を見に行った時の写真を撮るとこうなりますよね。

普通に撮った花火の写真例

花火はどの瞬間が一番きれいに撮れるかわからないので、とにかくシャッターを連打して、何枚も花火撮影した中からベストな1枚をチョイスします。花火をきれいに撮りたい時は、直接目で見ることを諦めましょう(笑)。

また、花火だけを撮っても十分素敵なんですが、次の写真のように見ている人を入れると、その場にいるような写真になり、【花火を見に行った思い出】というストーリーが生まれます。

ストーリーを意識した花火の写真例

ーおお! 本当だ! なんだか写真からいろいろな物語を想像してしまいますね。

岡田さん:明るさにも気をつけましょう。料理や人物は明るく撮った方が良い写真になることが多いのですが、風景はあえて暗くする方が良い場合もあります。花火もそうですし、他にも夜景や夕焼けなど周りを暗くした方が雰囲気が出ます。

線香花火の写真例

ーたしかに、明るいと雰囲気が壊れてしまう被写体もありますよね。

困ったときはあとで加工をしよう! プロカメラマンが教えるカンタン加工術

ースマホ写真といえば加工ですよね。コツはありますか?

岡田さん:ここまでお話してきた撮影テクニックの他に、私は後から加工も施しています。たとえば明るさや色味の調整、トリミングや回転などはもはや必須です。風景の場合、写真内の直線の水平と垂直が取れているとバランスが良くなります。

実例で紹介しますね。たとえば......

人物ポートレート写真の明るさ比較

岡田さん:このiPhoneで撮ったポートレート写真の場合は、少しトリミングして、iPhoneの標準カメラアプリの「編集」モードから露出と明るさを上げて、彩度も少しだけアップ、全体的にオレンジが強かったので色味を青に寄せています。

ーすごい! ちょっとの加工でこんなに印象が変わるんですね......!

岡田さん:あと、スマホ写真といえばやっぱりフィルターです。たくさんアプリもあって充実しているので、お気に入りを見つけましょう。たとえば私がおすすめするのはInstagramのGinghamやRiseというフィルターです。

ダメあるあるやってない? プロカメラマンによる写真の公開ダメ出し

ーここからはプロによる公開ダメ出しのコーナー! 自分でも何がダメなのかよくわからないけど、うまくいかなかったスマホ写真を岡田さんにダメ出ししていただきます!」

旅行先での建物写真のここがダメ!

ーこれは北海道に旅行に行ったときに北海道大学で撮った建物です。

ライターが旅行で撮った建物の写真

岡田さん:かっこいい建物ですね。せっかくなので、もっと引きで撮って全貌を見せたいですね。少しだけ斜めになっているので、右に1~2度回転させて水平を取ると整います。少し空が白飛び気味なので、撮影時に空をタップして明るさを空に合わせて撮ってから、建物を後で明るく加工すると青空と建物の色が両方出てきれいに見えますよ。

グルメ写真のここがダメ!

ライターが撮影したパフェの写真

岡田さん:まず、後ろにあるカトラリーと伝票など、パフェと関係ないものは避けましょう。このパフェは真上から撮ると苺が星型に見えて可愛いと思うので、それだけで1枚。青いお茶もそのものにインパクトがあるので、それだけで一枚撮るといいですね。

もし2つを1枚の写真に納めたいなら、どちらか主役を決めて、片方を手前に置いて奥行き(抜け)を作るとバランスよく撮れると思います。

飲み物の写真のここがダメ!

ライターが撮影した飲み物の写真

岡田さん:手前のビールだけを主役にしたいので、後ろにある水と他の人のビールは写らないように避けましょう。それから、ビールグラスの正面とカメラを並行(スマホをテーブルに対して垂直)にして、テーブルの中でもっと光が当たる場所で撮ると良いでしょう。背景は壁とか、抜けを意識してちょっとボカすと良いと思います。

子どもの写真のここがダメ!

ライターが撮影した子どもの写真

岡田さん:大人の目線で撮らず、目線を子供に合わせるか、子供を見上げるようにして撮りましょう。子供の目線の先に魚が来るように撮ると写真にストーリーが生まれます。水族館は水槽の中が明るくて、館内は暗いことが多いので、水槽の光が顔に当たるように横顔を撮るといい写真が撮れますよ。

ープロならではの鋭い指摘......! 岡田さん、ありがとうございました。アドバイスをもとに次からはもっと良い写真が撮れるようがんばります。

岡田さん:最後に最も重要なアドバイス! 良い写真を撮るためには「良い写真が何なのかを知る」ことが大事です。雑誌、広告、写真集など、プロの手にかかった良い写真をじっくりと見ることが、写真が上手くなる近道だと思います。

まとめ

やっぱりプロはすごい! ということがよくわかった今回のレクチャー。今までなんとなーく撮っていただけでしたが、撮影のポイントを意識することでこんなにも劇的に良くなるということがわかりました。

  • 一番見せたいところにフォーカスする
  • 一番明るい場所を探して撮影する
  • 意識してポジションを変えてみる
  • 加工するときはお気に入りのフィルターを見つけておく

せっかくのハイスペックなスマホカメラ、使いこなすためにもこの記事を参考にしてみてくださいね。そしてあなたの日常の瞬間をすてきな写真におさめてみてください!

文/山田井ユウキ
撮影/岡田佳那子