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スマホのために喧嘩しないで!スマホ活用アドバイザーの増田由紀さんに聞く、親のスマホ活用10のチェックリスト

スマホのために喧嘩しないで!スマホ活用アドバイザーの増田由紀さんに聞く、親のスマホ活用10のチェックリスト

スマホは今や現代人の必須ツール。シニア世代にとっても、日々のコミュニケーションや安否確認のために欠かせない存在となりつつあります。

そんな重要アイテムのスマホですが、「使い方がわからない」「買ったのに使いこなせていない」というシニア世代も......。親からのヘルプに、ついつい「なんでわからないの?」とイライラしてしまうことはありませんか? 実は、シニア世代も「子どもに聞いても怒られるから聞きづらい」といった悩みを抱えているんです......。

今回は、シニア向けのスマホ、パソコン教室を20年以上運営している増田由紀さんに、「シニア世代のスマホ活用でチェックしたい10のこと」を伺いました。長年、シニア世代のデジタルにおける「できない、わからない」をサポートしてきた増田先生だからこそわかることが盛りだくさん。シニア世代がつまずくポイントやよくあるトラブルをチェックして、親世代の快適なスマホライフをサポートしてあげましょう。

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スマホ活用アドバイザー 増田由紀さん
https://masudayuki.com/

2000年にシニア向けのパソコン教室を千葉県に開業。東日本大震災の際に、災害時の情報収集、安否確認でネットの有効活用の必要性を痛感し、タブレットやスマートフォンの活用講座にも注力する。2020年からは、コロナをきっかけにオンラインスクールにリニューアル。受講生には80~90代の方々も多く、旅行先や入院先からオンライン受講する生徒もいる。

雑誌『ハルメク』で「スマホ教室」を連載、総務省デジタル活用支援事業のスマホ講習会なども開催。

著書:日経BP社『いちばんやさしい 60代からのLINE』『いちばんやさしい 60代からのAndroidスマホ』

親のスマホ活用10のチェックリスト

シニア世代にスマホやパソコンの使い方を教えて20年の増田先生に、親世代がより快適になるスマホの使い方、その教え方のアドバイスをいただきました。

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1.不要なオプションをつけていないか

増田さん

契約内容を調べるには、キャリアのショップに行き、毎月何にいくら払っているかを確認するのが一番手っ取り早いです。

実家への帰省のタイミングで同席できればベストですが、一緒に行けない場合もありますよね。その時にオススメなのは、確認事項の台本を作ってあげることです。「月々、何にいくらを払っていますか? 不要な契約はありませんか? もっと月額が下がる余地はないですか?」と要件メモを添えてあげると、親世代も安心して問い合わせすることができます。

毎月の契約を定期的に見直すことはとても大事です。使わない機能にお金を永遠と払い続けるのは非常にもったいない。帰省したタイミングで、契約を見直すきっかけを作ってあげてください。

2.不要なアプリが入っていないか

増田さん

使わないアプリだらけのスマホは、散らかった部屋のように落ち着きません。スマホも大掃除が必要です。

人それぞれ、必要なアプリは違いますので、まずは「使ってないフォルダ」を作り、検証をしてみましょう。

頻繁に使わないけれど、消すのはためらうアプリを一度「使ってないフォルダ」にまとめて入れてもらっておきます。帰省のタイミングなどでそのフォルダを見てあげて、まとめて余計なアプリを削除してあげましょう。

3.家族といつでも連絡可能な手段は確保できているか

増田さん

今やライフラインになっているLINEは必須ですよね。既読機能で生存確認もできます。日頃のやり取りや写真の共有、テレビ電話がLINE一つでできてしまいますし、操作もわかりやすいです。「LINEを使いたいから」と私の教室に通ってくれる生徒さんがいるくらいに重要なアプリになっています。

さらにいうと、孫パワーはすごいですね。「孫の写真を送ってもらいたい!」という気持ちがモチベーションになって、スマホを使いこなすようになるシニア世代が増えています。家族のLINEグループを作っておくと、離れて暮らす家族同士が気軽に交流できるので便利です。帰省の際には、ぜひグループを設定してあげてください。

その他の連絡手段ですと、FaceTimeも直感的に使えるので便利ですね。iOS同士だとFaceTimeは設定の手間がないですし、iPadでも使える。とても使い勝手がいいです。

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4.スマホの容量はいっぱいになっていないか

増田さん

スマホで写真や動画を撮る方も多く、気がついたらデータがいっぱいになっていて、慌ててデータを消す方もいらっしゃいます。そんな方には、「Google フォト」がオススメです。Google フォトに自動でアップロードするように設定しておけば、端末のほうのデータを消しても画像や動画は残ります。

また、共有アルバムを設定してあげて、そこに家族の近況画像を保存しておくんです。すると頻繁に連絡をとらなくとも、互いの近況や孫の成長を共有することができます。写真の保存ツールとしてだけでなく、コミュニケーションツールとしても活用できますよ。

▼Google フォトのダウンロード先▼
App Store

Google Play

5.スマホの画面が押しづらいなどの使いにくさはないか

増田さん

シニア世代は指が乾燥しやすく、軽いタッチ、フリックの感覚を掴むことが難しいようです。特に男性の場合、手が大きく指が太いこともあり、タッチ入力がとても苦手な人もいます。

そこで教えてあげてほしいのが音声入力です。慣れれば簡単ですから、シニア世代こそ音声入力を身に着けてもらいたいものです。

文字の表示サイズを大きくすることはすぐに思いつきますが、音声入力は若い世代にとって盲点かも。ぜひ試してみてくださいね。

6.IDやパスワードは適切に管理できているか

増田さん

スマホ契約の手続きの際には、GoogleアカウントやApple IDの作成をその場で求められることも。若い世代にとっては手慣れたものですが、IDやパスワードを考えることはシニア世代にとって一大事です。なかなか決まらないと手続きが快適に進みませんし、慌てて決めたパスワードはすぐに忘れてしまいます。

ですので私は、ショップに行く前に、自宅で必ずIDとパスワードを決めておきましょうとお伝えしています。

そしてさらにオススメなのが、「スマホノート」を作ることです。スマホのIDやパスワード、契約内容など、スマホにまつわることを書きとめておくんです。

いざパスワード入力をするときに覚えていない人がほとんど。きちんとメモを取り、加えてIDやパスワードに、ふりがなをつけておくように促しましょう。大文字のO(オー)なのか数字の0(ゼロ)なのか、数字の1(イチ)なのか、ローマ字のi(アイ)なのか。自分の書いた文字が後から読めないとおっしゃる方も実際にいらっしゃるので、実践するように言ってみてくださいね。

なお、個人情報の塊なので取扱いにはくれぐれも注意するよう、伝えてあげてくださいね。

7.通知をちゃんと確認しているか

増田さん

メッセージをしたのに既読にならない、電話をかけたのに出ない。「何かあったのかな?」とよくない方に考えてしまい、子ども世代はついつい心配してしまいますが、単に気付かなかったということが大半......。

「できるだけ早く返事してほしい、スマホをよく見ておいてほしい」という要求をしても、人の習慣を変えることはできません。私達の世代よりスマホが身近ではないのですから、通知を確認する習慣がなくて当然です。

そこでオススメなのは、親にスマホを使う楽しさを伝えて、スマホに触れるきっかけを増やすことです。

例えば、料理が好きであれば「スマホでレシピが調べられるよ」、散歩が好きなら「道端の花の名前がわかるアプリがあるよ」といった具合に、日常生活がより便利に楽しくなるスマホ活用法を知ってもらうんです。おのずとスマホに触れる機会が増え、重要な連絡を見逃すこともなくなります。

災害や急病など、いざというときに親世代がスマホを使いこなせていることは、結果的に自分を助けることに繋がります。「どうせシニアは使いこなせない」というレッテルを外し、スマホは楽しいツールであることを教えてあげてください。

スマホライフを楽しんでいる私の生徒さんは、YouTubeで好きな芸能人をチェックしたり、出先で電子書籍を読んだりと、若い世代となんら変わらない使い方をしていますよ。

8.必要に応じて位置情報を共有できるか

増田さん

7つめの話にも繋がりますが、離れて暮らす親世代の安否確認は、スマホで行いたいことの一つですよね。実際に東日本大震災の際には、スマホでの安否確認の重要性をみんなが認識しました。有事の際に備えて、位置情報を共有する方法は必ず教えておきましょう。

私のオススメは、LINEの活用です。LINEで位置情報を表示し、右上の送信ボタンを押すことで位置情報を共有することができます。

位置情報を共有する専用のアプリもありますが、1つの目的でしか使えないアプリよりも、日常的に使用するLINEで安否確認ができるとよりよいですよね。

お互いに災害時の練習をしようといって、外出中に送りあってみるのもよいでしょう。

IMG_5351.PNG▲LINEの十マークを押して、この画面が出てきたら「位置情報」を押すと共有ができます

9.月々のデータ契約量は適切か

増田さん

契約を見直すと、シニア世代に不向きな大容量の通信量の契約がされていることがあります。騙されているのかと不安になりますが、携帯ショップの販売員が親切心で「外で動画は見ますか?」と聞いたら、親御さんが「はい」と答えたからというケースも。

契約時に、通信量の目安をお伝えしてあげるといいですね。家にWi-Fiがあるのであれば、シニア世代なら1〜3GBあれば十分ではないでしょうか。

誤ってデータを大量消費しないためにも、私は「動画を見るときは、扇のマーク(Wi-Fiのアンテナ)が付いているか確認しましょうね」と伝えています。

Wi-Fiとはそもそも何か、という説明でつまずいてしまうこともあるでしょう。その際にはこのように伝えてあげてください。

あなたは、通信量という有限の水のタンクを背負っています。タンクが空になってしまったら、翌月まで水を飲むことができなくなってしまいます。その点Wi-Fiは、公園の水道のようなもの。出先では、なるべく公共の水道から水を飲むほうがいいですよね。こうやって伝えれば、シニア世代にもWi-Fiの仕組みがイメージしやすいと思いますよ。

無料のWi-Fiのアイコン.png▲このマークを目印に、と伝えましょう

10.Wi-Fiに接続できているか

増田さん

そこで、次に重要になるのが、Wi-Fiの接続方法ですね。

現代においてインターネットは、電気・ガス・水道と同じくらい重要なインフラです。私はシニア世代のみで暮らす世帯であっても、必要ないからとインターネットの契約を解除せずに、残しておくことをオススメしています。

加えて、外出先でもWi-Fiをつなげる知識が必要ですね。私は「Wi-Fiは目に見えないけど、それぞれに名前が付いている。設定ページを開くと、名前を確認することができます」とお伝えしています。

まずは、その場所で使えるWi-Fiの名前の見方を教えてあげましょう。そして、公共の施設であれば、その施設の名前が付いているWi-Fiがあるよと、適切なWi-Fiの見つけ方を教えてあげてください。

次に、名前をタップするだけで使えるもの、パスワードを入力しなければいけないもの、メールアドレスなどを入力しないと使えないものがあることを説明します。

忘れてはいけないのが、危険なWi-Fiの存在です。Wi-Fiの名前には、施設、コンビニ、店舗などの名前がついていることがほとんど。見慣れた名前が付いていないWi-Fiにはむやみに繋がないことを、必ず注意喚起してあげてくださいね。野良Wi-Fiは使わない。先程の例えでいうと、「怪しい水は飲むな」ということです。

スマホ安全アドバイザー・増田さんにインタビュー

親にスマホをマスターしてもらうのは自分のためでもある

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ーシニア世代にスマホの使い方を教えるのはとても大変......と感じる方も多いです。親がスマホを使いこなせると、どんなメリットがありますか?

増田:例えば、災害時を想像してみるとわかりますが、親の安否や現在地を確認する方法があるのとないのでは雲泥の差がありますよね。

実際に、コロナ禍で直接会う機会が遮断された今、テレビ電話ができていればと感じた人もいるのではないでしょうか。

スマホを使いこなせることは、親子お互いにとってハッピーな状況です。両親を鍛えるのは自分のためでもあるんですよ。「面倒だ」とか、「なぜこんなことがわからないのか」などと思わずに、ぜひスマホについて教えてあげる機会を作ってあげてください。

ー帰省時にしっかりと時間が取れないかもしれません。最低限確認しておくべきことはありますか?

増田:子ども世代が、帰省のタイミングで最低限しておくべきことは、

  1. 情報を整理する(契約内容や必要なアプリの使い方)
  2. 自分が必要な情報を収集する(パスワードやどのアプリが使えているか)
  3. スマホの楽しい使い方を気付かせてあげる

これだけ確認しておけば、帰省が明けたあとでも、電話でのコミュニケーションがしやすくなると思います。

褒めることは、学びのモチベーションになる

ー教えるときのコツはありますか?

増田:「シニアだからできなくてしょうがない」と決めてかからないでほしいですね。私の生徒さんたちは、InstagramもTwitterもキャッシュレス決済も使いこなしていますよ。

シニア世代にとっても「年寄りだからできない」と自分の可能性を捨ててしまっているのはもったいないことです。

「なんでできないの!」と怒るよりも、できるようになったことに目をむけて「メッセージ送れるようになったね、できるようになってすごいね」と褒めてあげてくださいね。親も子も、褒めて伸ばすことができます(笑)。それが、親世代の学びのモチベーションになります。

ー「アカウント、タップ、アップデート......」と説明しても正しい操作をしてくれません。シニア世代にわかりやすく説明するにはどうすればいいでしょうか?

増田:子ども世代にとっては当たり前の単語ですが、シニア世代にとってはカタカナ語が重なると理解が難しいんです。カタカナ語は極力避けましょう。通信量と水のタンクのように、身近な例え話や、わかりやすい表現を使うように意識してみるといいかもしれません。

また、カタカナ語を使う場合は、1回に3ワード以下と意識してみましょう。

親が自分と同じ端末を使えることが理想

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ーシニア向けの機種もありますが、どのような端末がオススメでしょうか?

増田:個人的にはシニア向けの機種はあまりオススメしていません。

電話でスマホの使い方説明をする場合に、実際自分が使っていない機種だと、ボタンの配置が全く違うこともあり説明することが難しいですよね。

自分が使っているのと同じ機種を親も使っていれば、もっと分かりやすく説明ができるはずです。シニア世代も時間をかければ必ずスマホを使いこなすことができます。始めからシニア向けの機種にしないことをオススメしています。

それが難しい場合、スマホの画面ショットの撮り方の方法を教えておくといいですね。口頭の説明が難しい場合も、画面ショットを見せてもらえば、どの画面で悩んでいるのかがわかれば解決策が見つかりやすいです。

わからないものにお金を払わない

ー親がスマホを購入する際に、不要なオプションや契約をつけられないか心配です。伝えておくべき心構えや、適切な料金かをチェックする方法を教えてください。

増田:買い慣れた日用品であれば、高いから他の店で探そうとするのに、スマホに関することが「わからないから」と、言われるがままに高額の通信プラン契約をするシニアはたくさんいます。

ですが、日用品の差額よりも、スマホの料金の差額のほうがよっぽど高額ですよね。わからないから店員さんの言うがままに、という契約の仕方は絶対にNG。わからないなら契約前に聞いてねとお伝えしてあげると共に、定期的にプランやオプションが適切なのかを見直してあげてくださいね。

そのためにも、スマホ本体の費用・通話料金・通信費・オプション費。何にいくら払っておくのか把握する癖をつけておきましょう。

スマホは本体買い切り+SIM契約がオススメ

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ー何にいくら払っているかはどのように確認すればいいでしょうか?

増田:費用の可視化をするにあたり、気をつけておきたいのは、スマホ本体の料金です。スマホ本体は高額のため、割賦契約がメジャーですが、月々の支払額が適切かを見極めにくくなってしまうことも。

そこでオススメしたいのが、スマホ本体は買い切りにして、格安SIMを契約する方法。こうすると、毎月の支払い料金=通信量となるので、わかりやすいんです。

一見、格安SIMはシニアには難しそうと思いがちですが、少ない通信量であれば、相当格安でスマホを利用することもできます。そこまで大量のデータを使わないシニア世代には、実はぴったりな契約方法なんですよ。格安SIMだと、混み合う時間に通信が遅くなるデメリットはありますが、シニア世代に一分一秒を争うことってあまり起こりませんからね(笑)。

以前はオンライン契約のみのケースも多く、ハードルが高かったのですが、今はカウンターで契約できる格安SIMも増えています。

ー先生のオススメの格安SIMを教えてください。

増田:私は、インターネット黎明期からあるIIJmioの姉妹ブランドであるBIC SIMを使用しています。

過剰なオプションがついておらず、通話とデータ通信だけの非常にシンプルな料金体系で、格安SIMならではのとてもリーズナブルな価格設定です。かなり前からBIC SIMに乗り換えて、教室の生徒さんにもオススメしています。

シニア世代は、見知った企業の商品を選びがち。格安SIMは不安と感じる人もいますが、電波は全て同じだよと伝えてあげてください。まさにシニアにぴったりな格安SIMに、ぜひチャレンジしてほしいですね。

まとめ:帰省のタイミングで親世代のスマホ活用の見直しを

スマホは日々のコミュニケーションだけではなく、生存・安否確認のツールでもあり、今や欠かせないインフラとなっています。

そこで親世代がスマホを使いこなすことは、自分のため、家族のためとなって必ず返ってきます。直接顔を合わせられる帰省時を利用して、スマホの購入検討や、現在のスマホの活用状況のチェックをしてみてください。

増田さんがおっしゃっていたように、BIC SIMは通話とデータ通信だけの非常にシンプルな料金体系となっているので、この記事をきっかけに契約を見直してみようかな、という方はギガプランもご検討を。 もしよくわからないという親御さんがいらっしゃったら、全国のビックカメラグループにある格安SIMカウンターにご一緒にお越しください。

楽しくコスパの良いスマホライフが迎えられることを応援しています。

文/井澤梓
イラスト/はやかわくにこ
編集/株式会社LIG