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親は子どものスマホ利用にどう向き合ったらいい? ITジャーナリストに聞く 親が知っておきたいITリテラシー

親は子どものスマホ利用にどう向き合ったらいい? ITジャーナリストに聞く 親が知っておきたいITリテラシー

こんにちは。4月で中学生になる娘を持つ、フリーライターの吉田可奈です。中学生と言えば、思春期、反抗期がやってきます。もう親がすべてを知る年齢ではなくなってきますよね。好きな子を聞いてもはぐらかされ、いつのまにかママは授業参観に来ないでと言われ、かと思えば『WEGOで欲しい服があるんだけど...』って、すり寄ってくるのは昔の私と同じ!

そんな娘が最近執拗にねだってくるのがスマホです。すでに私の型落ちのスマホは渡していますが、使えるのはWi-Fi環境があるときのみ。しかも自分の番号は持たないのでLINEもメールもできません。キッズケータイは持っているので、親としては何も困らないのですが、これが彼女的にはかなり困ると言い張ります。とはいえ、最近はスマホが媒介となった怖いニュースや、香川県のゲーム規制の話など、親としては不安な話も多いので迷うところ......。そこで子どものスマホ事情に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんにお話を伺ってきました。

_高橋暁子さんの画像

ITジャーナリストの高橋暁子さん
SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しいITジャーナリスト。元小学校教員でもある。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。

子どものスマホ利用で今起きている問題とは?

―少し前に香川県議会が「子どものゲーム規制条例」が公表され話題となりました。後に対象からスマホは外されましたが、当初はスマホも対象となっていましたね。なぜ子どものゲームやスマホの利用規制が注目されているのでしょうか。

高橋暁子(以下高橋):私は今、年間で何十校も回ってお話をしているんですが、児童や生徒がゲーム機やスマホでゲームをやり過ぎたり、動画を見すぎる問題が起きています。訪れた多くの中学校で、ゲーム依存になり不登校状態になってしまう生徒がいました。友だちとの不和や、学業不振で家族に怒られて、現実逃避的にゲームをやったらハマってしまい、結果的に不登校につながるケースが多いんです。

―たしかに、ゲームのなかで友達もできますからね。

高橋:そうなんですよね。そこで会話もできて寂しさも解消されますし、ゲームはやったらやっただけ成果が出てくるのでよりハマりやすくなっています。その結果、ゲームの世界が中心となってしまうと、昼夜逆転して不登校になってしまうケースが出てくることも。もちろん、セーフティネットとして存在する分にはいいんですが、あまりにもハマってしまうと、自分で利用時間をコントロールできなくなってしまうんです。それがたとえ親でも、どう言ってもやめてくれなくなるんですよね。家にいても友達から誘われたら断れず、ゲームを続けてしまう子は多いものです。スマホやゲーム機はそのようにものすごく誘惑が強い端末です。そこで、親を超えて、県が規制するという事態までになってしまったんだと思います。

―そうならないためには、まず何をしたらよいのでしょうか。

高橋:まずは、スマホを購入時にお子さんとしっかり約束事を決めることだと思います。最初に決めごとをしっかりと理解させておくことで、本人の意識が変わるので、なんとなくスマホを渡すことだけはやめるようにしましょう。

―ちなみに、スマホのトラブルは、どんなことがあるのでしょうか。

高橋暁子さんの画像

高橋:実際に誘拐された例で観てみると、SNSとオンラインで会話ができるゲームアプリを使っているんです。TwitterやTikTok、InstagramなどのSNSはDMを使うと、裏でどんな話をしているかは第三者には分からなくなります。子どもは大人より常識や判断力が乏しいからこそ、誘い出されてしまえば、事件に繋がってしまうことがあります。なので、ネットで知り合った人とは会ってはダメ、ネット上の人は素性や本心が偽れるという話をしっかりしておくことが大事だと思います。

―たしかに、SNSでは話しているだけだと、すごくいい人だと思ってしまうケースもありますよね。

高橋:あります。でも、「実際に子どもに会おうと言ってくる大人にいい人はいないと思ったほうがいい」と伝えます。性被害にあった子どもに話を聞くと、「あの人は相談に乗ってくれたから、本当はいい人だと思う」って言っている子さえいるんですよ。もちろん、話を聞いてくれる優しい人もいます。ただ、子どもを呼び出す時点でダメということを伝えるのは絶対に必要です。

―大人でも騙される事があるぐらいなので、子どもには難しいですよね。

高橋:難しいですし、とてもリスキーだと思います。ただ高校生に話を聞くと、ほぼみなさん、ネットで知り合った人と実際に会っているんです。これはとても危ないこと。中学生は絶対にダメですが、もし高校生くらいになって、そういう状況になったとしたら、誰といつどこで会うかということをちゃんと親に知らせ、さらに2人きりではなく友だちとなど複数で、日中に人が多い場所で会うことを条件にしてください。ちゃんと自分の身を守った状態で会うことは忘れないでほしいですね。

―TikTokなどに自分の顔を出すことも、デメリットが大きいですよね。

高橋:自己承認欲求が満たされるので本人たちはやりたいし、楽しいでしょうが、小学生が出ている動画が本人たちの知らないところで勝手に動画サイトに転載されていることがあります。第三者に住所が特定されて、まとめサイトに載せられている子もいます。これも事件につながるので、基本的に自宅や場所がわかるような動画は載せないようにしましょう。どうしても載せたい場合は、親がしっかりと管理した上で、特定されない場所で撮影し、リスクを頭に入れた上で行うことが大事だと思います。

さらに、中学生になるとリベンジポルノの問題も出てくるんです。恋人同士で裸を撮影してしまい、別れたときに周りに送られてしまったりとか、そういう話もあるので、絶対に撮影しないということも、最初に念押ししておくことが大事だと思います。

ライターの画像

―もし、トラブルが起こってしまった場合、どのような機関に相談すればよいのでしょうか。

高橋:リベンジポルノがインターネット上に掲載されてしまったら、セーフラインに通報すると削除してくれます。
いじめなどの相談は、厚生労働省が「SNS窓口」というページを設けています。無料で相談できるLINEアカウントが紹介されているので、そこで相談するのがいいと思います。 また、警察庁のインターネット安心・安全相談というページでは、心配事別に相談先を調べることができます。
他にも電話で無料相談できる相談室なども多数あるので、積極的に活用してみてくださいね。

リベンジポルノの被害にあわれてしまったら(一般社団法人 セーファーインターネット協会)

SNS相談(厚生労働省)

警察庁インターネット安全・安心相談(警察庁)

子どもにスマホを持たせるメリットとデメリット

―スマホを持つデメリットが注目されがちですが、メリットはどのようなことでしょうか。

高橋:自分の世界が広がるので、学校でいじめなどに遭っていたとしても、SNSで相談することができ、仲間ができることで、救われるケースも多いです。さらに、アプリを上手く使うことでプログラミング教育、さらに検索リテラシーなどを高めることができるのは、とてもいいことだと思います。さらに、TwitterやTikTokは、自分の表現力が高まると思うので、編集や企画、プレゼンなどの構成力を高めることはできると思います。

―災害時のツールとしても、必要になってきますよね。

高橋:親御さんが持たせたい理由のNo.1が、緊急時に連絡が取れることなんです。なので、災害掲示板アプリなどを入れておくことをおすすめします。

高橋暁子さんの画像

―親としては、居場所がわかるGPS機能なども便利ですよね。

高橋:そうですね。子どもって、端末の管理が上手ではないので、iPhoneであれば、「iPhoneを探す」をちゃんと機能させておき、さらに一定期間触らないでいるとスマホのディスプレイの表示や操作を制限する機能「スクリーンロック」をちゃんとかけることが大事だと思います。

―やはり、スクリーンロックは大事ですか?

高橋:もちろんです。そのまま落としてしまえば、端末の中身が流出したり、そのまま拾った人が本人のなりすましになるケースが多数あるんです。LINEもロックをかけていなければ、すぐになりすましをされてしまいますからね。そこで友達が呼びだされて、事件になったケースもあるんです。それもすべてロックひとつで解決ができるので、必ずかけるようにしてください。最悪、内容の遠隔消去もできるんですよ。

―写真などは消せた方が安心ですよね。

高橋:はい。家に鍵をかける感覚で、ロックをかけるようにしてくださいね。

親が持つべきスマホ知識とは?

―子どもにスマホを持たせるのは、いつ頃がベストなのでしょうか。

高橋:子どものスマホを持たせるタイミングは2パターンあると思います。まずは、早い段階で持たせて、親が完全に制限をかけるパターンか、徹底的にギリギリまで引っ張り、もう持たないと友達と連絡が取れなくなるという状態から持たせるパターン。親としては後者の方が理想に思えますが、おすすめするのは前者です。

ライターの画像

―それはなぜでしょうか。

高橋:親がスマホをすべて管理できる年齢からしておけば、トラブルを防ぐことができるんです。それが、管理を拒絶する年齢になってから渡してしまうと、危険な使い方をしていても親がすぐに気づくことができず、どうしてもトラブルにつながりやすくなってしまうんですよね。

―それはスマホの利用経験値を積んでおくということですか?

高橋:そうですね。また、最初に言いましたが、持ち始める前にスマホを使う上でのルールを決めて、誓約書という形にしておくといいでしょう。一度自由に使わせておきながら、トラブルが起きてから制限をしようとしても、多くの子どもはきいてくれません。最初に子どもと話し合ってしっかりルールを決めてから使い始めた方が、絶対にいいですよ。

―今はスマホが設定した時間以降は触れなくなるアプリなどもありますよね。

高橋:はい。それ以外にも、iPhoneであればスクリーンタイム、Androidであればファミリーリンクというサービスがあるので、それを駆使して制限をするのが一番いいと思います。電話やメールという基本機能は使えるままで、動画やSNS、ゲームなどの機能だけを制限することができます。

―とはいえ、親が「見ないで」と言われるときもすぐにやってきますよね。

高橋:もちろん、親子間にもプライバシーは存在します。とはいえ、すべて自由にやらせてしまうのはまだ怖い小中学生であれば、パスワードを知らせておきなさいと言っておくだけでも効果はあると思います。

あと、親のことをブロックしない、ということも大事です。「基本的には見ないけど、何かおかしなことがあれば見るからね」と言っておけば、抑止力になるんですよね。

さらに、LINEでやりとりしている内容や相手などを普段から話題にしておくことも必要だと思います。今、どんなアプリを使っていて、誰と交流して、何に興味を持っているかということを親が把握しておくことは、ある程度の安心につながると思いますよ。

高橋暁子さんの画像

―最近では、自分が過去に使っていた型落ちのスマホを練習がてら子どもに渡している親御さんもたくさんいると思います。まずは家の中でWi-Fiだけでつなげるという状態からはじめて、そこから新しいスマホを契約して外でも使えるようにする、という方たちには、安い料金で使い始めることができる格安SIMはかなりいいのではないでしょうか。

高橋:そう思います。親の経済的負担を考えてもいいと思います。さらに、動画は家などWi-Fi環境で観るほうが多いと思うので、データ通信量もあまり多くない契約にして、外で使いすぎないようにしてもらうといいかもしれませんね。移動中は動画を見ないなど、自分なりに月のデータ通信量も管理できるようにしてもらうことも大切です。最初に見放題にしてしまうと、利用の制限が効かなくなってしまうので、そこも抑えておいたほうがいいですね。

―スマホの契約時に選ぶべき端末や、オプションとして付けておいたほうがいいおすすめのサービスはありますか?

高橋:スマホ本体を選ぶときは端末の性能や画質がどうのよりも、子どもはすぐになくしたり壊したりするので、防水や壊れたときの保証ができるサービスを契約しておいたほうが安心ですね。

まとめ

高橋暁子さんとライターの画像

子どもにスマホを持たせるときには、約束を交わすことが一番だとわかりました。
そこに記すべきことは、これら。

  • ゲームの使用時間を決めること
  • いざというときのためにパスワードを親に知らせておくこと
  • 普段からどんなアプリにハマっているか話しておくこと
  • スマホやLINEなどにロックをかけておくこと
  • SNSで知り合ったひとには自分一人では絶対に会ってはいけないこと
  • 裸の写真を絶対に撮影しないこと
  • 自分自身の顔を自分判断でネットにアップしない。

それから、子どもとスマホの使い方を日頃からしっかりと話すこと。

子どもに初めて持たせるスマホとして、まずは自分の型落ちのスマホを持たせて練習させてからがいいということを知ることができたので、中学入学を機に、自分の古いiPhoneに格安SIMを入れて使わせることを考えてみたいと思います。BIC SIMでは端末が壊れたときのサポートが手厚い「つながる端末保証」オプションがあるとか。子どもに使わせるには安心ですね!

高橋さん、ありがとうございました!

文/吉田可奈
撮影/よねくらりょう