スマホの中にある「SIM」ってなんなの?専門家に聞いたら衝撃の事実が判明
こんにちは、家電大好きライターの紳さんと申します。
突然ですが皆さま
「SIM」ってなに?
と思ったことはありませんか?
スマホの側面についてる秘密のボタンを押すとヒョコッと出てくる小さくて薄い金属片みたいなやつです。
あれのおかげでスマホで電話ができたり、インターネットが使えるようになるらしいのですが、原理がわかりません。
知りたい。SIMがなんなのか知りたい。
というわけで今回は、「日本でもっともSIMについて詳しいとか詳しくないとか色々と噂されている」専門家の方々に話を聞いてみたいと思います。
日本SIM販売協会・会長 「ハヤSIM」氏。
ズバ抜けて高いIQの持ち主で、その数値は230を越え、幼少期から「神童」と呼ばれた。
テレンス・タオと双璧をなす天才数学者として将来を期待されていたが、大学院生の時に最愛の彼女にフラれ、ついでにSIMと出会い、その魅力に取り憑かれる。
以降、独学でSIMについて学び、自身がSIMを利用するだけには留まらず、「もっと質の良いSIMをたくさんの人に使って欲しい」という想いを抱くようになった。
格安SIM促進委員会・代表 「SIM太郎」氏。
某有名IT会社でシステム構築、ネットワーク管理、データベース管理、サーバ管理を担当し、あらゆる技術を身につけた凄腕のフルスタックエンジニアとしてマルチに活躍。
ところがある日、最愛の彼女にフラれ、ついでにSIMと出会ったことで退職を決意。
以降、独学でSIMの研究を行い、自身がSIMを活用するだけでは飽き足らず、「SIMを使って人類の夢を叶えたい」という野望を持つようになった。
本来ならば、僕ごとき「口をきくのも許されない」ような身分のお2人ですが、たまたま今回は利害が一致し、お話する機会をいただけたので、色々と聞いてみたいと思います!
ハヤSIMさん、SIM太郎さん、今日は何卒よろしくお願いします。
こちらこそ、よろしくお願いします。
どうぞ、よろしく。
SIMに関する10の質問
質問1 『SIMって何?』
シンプルに、SIMって何なんでしょうか?
良い質問ですね。SIM太郎さんが答えてくれると思います。
はい。こう見えてSIMはコンピューターなんです。
えっ!? SIMがコンピューター!?
一見、ただの金属板に見えますが、裏側に小さな部品(CPUやメモリが一緒になったICチップ)が埋め込まれています。ポイントカードとかで裏面にバーコードが入っているプラスチックカードや、黒い帯がある磁気カードを見たことはありますよね? あれと比較するとSIMはかなりたくさんの情報を保存できるんですよ。
ひゃあ〜! ビックリした。スマホは正にコンピューターだと思ってましたが、SIMもコンピューターだったんですね。つまり、ダブルコンピューター状態ですね。
フフフ。SIM界では常識ですよ。
SIM トリビア その1
SIMは小さなコンピューター。
質問2 『SIMの原理は?』
それにしても、SIMをスマホやタブレットの中に入れるとインターネットに繋げたり、電話ができたりするのは不思議ですね。 SIMはどういう原理で動いているのですか?
はい。先ほど「SIMは小さなコンピューター」とお話ししましたが、それがスマホの動作にも深く関わっています。
スマホでインターネットや電話を使うためには、屋外にあるアンテナの先につながっている「交換機」に通信を許可してもらう必要がありますが、交換機がSIMを本物かどうか見分けるために暗号を使うんです。その暗号を作ったり解いたりしているのがSIMカードなんですよ。
ウヒョ〜! 暗号とかめっちゃカッコイイ単語ですね。
それにしても、SIMはどうやって電波を探しているんですか? この世には無数の電波が飛び交ってますが、どうしてそれが自分に向けて発せられたと認識するのでしょう?
実は、皆さんがお持ちのスマホを操作すると、利用中の携帯電話会社の電波以外に他の会社の電波も受信しているのが見えます。スマホは電源が入るとあたりに飛び交っている電波をいったん、全部受信するのです。
ヤベェ。スマホ、めっちゃメンヘラじゃん!?
はい。そのままではスマホはメンヘラ状態なのですが、そこで活躍するのがSIMです。電波には「PLMN」という情報が含まれているのですが、SIMはその情報を頼りに「自分がどの電波を使えば良いのか」というのを判断しています。そういうプログラムがSIMに書き込まれているんですね。
SIMすげぇ!!
SIM界では周知の事実ですけどね。
SIM トリビア その2
SIMはメンヘラ。
質問3 『SIMにはどんなシリーズがあるの?』
ところで、SIMには色んな種類があるのですか?
はい。SIMにもいろいろな種類があって、一番わかりやすいのはSIMのサイズですね。大きいほうから順番に「標準SIM」「マイクロSIM」「ナノSIM」と呼んでいます。本来であれば、お使いになるスマホやタブレットの「SIMスロット」に合わせて選ぶ必要がありますが、最近はほとんどナノSIMなので特に気にしなくても良いかと思います。
へぇ〜。スマホやタブレット以外にも使うことってあるんですか?
もちろん。ノートパソコンに入れて使うとテザリングやルーターを使わなくても通信ができるようになりますし、それ以外にも、意外なところにSIMは使われています。
たとえば、街頭にある監視カメラに取り付けてカメラの映像を送信したり、自動販売機に取り付けて在庫状況を事務所から調べたりするのに使われていますね。これからはSIMの用途がもっと広がって、例えば子供に持たせる防犯ブザーにSIMを取り付けて、何かあれば警備員がすぐに駆けつける、みたいなものも普及するのではないかと思っています。
わお! めっちゃ活躍してますね、SIM。知らなかった。
フフフ。良い学びです。
SIM トリビア その3
SIMはスマホ以外にも、めっちゃ色んなところに使われている。
質問4 『SIMフリーってなに?』
よく耳にする「SIMフリー」ってなんですか? 「SIM不自由」が存在するの?
はい。個人的には「SIMフリー」という言葉は曖昧な表現だと思っていて、正確にいうならば「SIMロックフリー」だと思います。
SIMロックフリー? SIMロックってなんですか?
SIMロックとは、端末を作る機器メーカーが機器を出荷する際に「特定のキャリアが発行したSIM以外を受け付けないように」端末側にプログラムを仕込むことです。これにより端末を購入したユーザーは「端末を続けて使用したければ、キャリアも続けて使用しなければならない状態」になります。
そうだったんですね。知らなかった......。
様々な事情がありますので......。ただ、SIMロックフリーの端末ならば、どのキャリアのSIMも使うことができるんです。現在は法律が改正されて、一定の条件を満たす場合、ユーザーに申し込まれたならばキャリア側は「端末機器をSIMロックフリーの状態にしなければならない」というルールがあります。
知らないって怖いなぁ。
フフフ。知らないのは罪ですよ。
SIM トリビア その4
SIMフリーは正確にいうとSIMロックフリー。
質問5 『SIMは誰でも作れるの?』
SIMは誰でも自由に作って良いのですか?
キター! 良い質問だ〜! その質問、SIM太郎さんがお答えします!
はい。SIM自体は家電製品と同じようにメーカーさんが作っています。なので、ある意味では誰でも作ることはできるでしょう。ですが、大切なのは、SIMにどんな情報を書き込むか、です。SIMの中には電話番号や交換機との暗号通信に使う「鍵」の情報が入っています。この鍵は誰かが勝手に用意するものではなく、交換機に保存されている「鍵」とペアになっている必要があります。
それって、つまり?
交換機を管理している者にしか、鍵の情報は用意できません。そして今まで、日本で交換機を管理できる会社は限られていました。全国区で営業している会社では、docomo、au(KDDI)、SoftBankの大手3グループだけです。とどのつまり、メーカーが作ったSIMを受け取って「通信に使えるSIM」にすることができるのは、その3社だけということになります。
独占、じゃないですか。うらやましすぎる。
.........。
.........。
SIM トリビア その5
通信に使えるSIMを用意できるのは、大手キャリア3社のみ。
質問6 『大手キャリア3社以外の通信会社ってなんなの?』
あれ? でも、大手3社以外にも通信サービスを提供している会社ありますよね?
.........例えば?
ワイモバイルとか、UQモバイルとか。
ワイモバイルはSoftBank自身が、UQモバイルはKDDIグループの会社が運営しています。
じゃあ結局、大手3社だけってこと? 他に参入できる会社は無いってこと?
良い質問だな、小僧!
(いきなりキャラ変わった!?)
いいか、よく聞けよ。さっき俺は通信に使えるSIMを用意できるのは大手キャリアだけだと言った。だがなぁ、それが変わったんだよ!!!
ど、どうなったんですか?
他社から無線通信インフラ(設備)を借り受けて、サービスを提供する事業者のことを「MVNO」っていうのは知っているか?
は、初めて知りました。
MVNOは他社から無線通信インフラ(設備)を借り受けて、サービスを提供する事業者なんだが国から「携帯・スマホのサービスの競争を活発にしたいし、独占って良くないよね」という指導が入ったのをきっかけに普及したんだ。それまでの大手キャリアとは異なるサービスや料金プラン、それにさまざまな付加価値をつけたSIMの登場により、ユーザーは今まで以上に自由なサービスを選べるようになったというわけだ。
そ、そうなんですか。
電波を使うには、免許(国の許可)が必要だ。携帯電話に適した電波というのは限りがあるので、そうそう免許は発行されない。先ほども言ったように、日本で全国的にサービスを展開できる業者はdocomo、au(KDDI)、SoftBankだけだ。と・こ・ろ・が。その大手キャリアの設備を借りて、独自のSIMで通信サービスを提供しても良いということになったんだよ。正に革命。時代が大きく動いたんだ。
SIM トリビア その6
SIM太郎は興奮するとキャラが豹変する。
質問7 『格安SIMってなに?』
それで、今までは不可能だった携帯・スマホの通信事業に他の企業が参入できるようになったってことですよね?
そうだ小僧。 その結果、どうなったと思う?
どうなったんですか?
800社ほどが参入してきた。
wwwwwwwwwwww
急に宣伝っぽくなりましたね。ところで、格安SIMサービスってなんですか?
待ってましたー! 良い質問だ〜!
アンタ、さっきからなんなんだ。
そのBIC SIMっていう格安SIMサービスの良さを多くの方に伝えようと頑張っているのが、この私、「ハヤSIM」なのさ。
なるほど。で、格安SIMサービスってなんなんですか?
.........。
どうしたんですか、いきなりテンション低くなって?
いや、説明が長くなるかもしれないから、読者が離脱しちゃうんじゃないかと思って。
この長いコンテンツをここまで読んでくれた読者に限ってそれはねーよ! むしろ、全員格安SIMに興味ありまくりだよ!!!もう、なんなら全員、乗り換えようと考えてるよ。
本当かい?
SIM トリビア その7
ハヤSIMさんは情緒が不安定。
質問8 『格安SIMってなに? Part2』
で、格安SIMサービスってなんなんですか?
まず、考え方として、大手キャリア3社が提供しているサービスは「フルサービス・フルスペック」なんです。料金もそれなりで。
まぁ、そうですね。僕も毎月1万円ぐらいは払ってるかな。
一方、格安SIMサービスっていうのはフルサービス・フルスペックではない代わりに月額の料金をかなり抑えてサービスを提供しているんです。通信量も何ギガバイトまでって決まっているし。
料金が安くなるのは良いけど、ちゃんと通信できるんですか?
人によって求めるスペックっていうのは違うから一概には言えないんですけど、SNSを更新したり、メールやLINEを送ったり、ときどき動画を再生したり、スマホゲームをやったりっていうのは十分にできます。
例えばBIC SIMなら、決められている通信量に達した場合でもメールやLINEのやりとりなら可能です。大手キャリアの場合は、決められた通信量に達すると自動的に料金が上のプランに切り替わるとか、まったく通信ができなくなるとか、そういう感じのものが多いんですけどね。
へ〜、なるほど。電話も使わず、日常的にメールとかLINEのやりとりぐらいしかしない人なら、最安の料金で済むってことじゃないですか。
そうですね。BIC SIMの場合なら、月々2000円以内に収まる可能性もあります。通信量に達するまでは快適にネットサーフィンもできますしね。
SIM トリビア その8
格安SIMはマジで格安。
質問9 『格安SIMだから遅いってことは無いの?』
たまに噂で聞くけど、格安SIMだから速度が遅いとかは無いんですか?
単純に速度で比べたら、大手キャリアのフルスペックサービスよりはパフォーマンスは落ちます。特に昼の12時〜13時の間はインターネットの利用者が多いので、その時間はパフォーマンスが低下することもあります。
あら、正直。まあ、当たり前ですよね。料金安くてスペックが変わらないほうが意味不明。
でも、混雑すればパフォーマンスが低下するのは、どのキャリアでも同じはずです。
OKです。面白そうなので、それに関しては次回、こちら側で検証させていただきます。
それは楽しみですね。まぁ、普通に使っている分には問題なく使える速度に収まっているはずですよ。
SIM トリビア その9
混雑する時間帯によってはパフォーマンスは低下するし、そもそも大手キャリアのようなフルスペックサービスと比べたらパフォーマンスが落ちるけど、当たり前のことじゃね?
質問10 『今後、SIMビジネスはどうなるの?』
今日はSIMに関する有益な情報がたくさん聞けたので満足です。ありがとうございました。
調子に乗るなよ、小僧! SIMの道は甘くない!
(まだ元に戻ってなかった......)最後にお聞きしますが、今後のSIMビジネスはどのように私たちの生活に関わってくると思いますか?
そうですね。いろんな会社が参入して、独自のサービスをどんどん展開してくると思いますね。ポイントが貯まるとか、SIMサービスを契約することで、関連会社の他のサービスがお得に使えるとか。それをお客様1人1人が自分のライフスタイルに合ったサービスを選んで使うということになるかと思います。
ユーザーがとある企業のファンだったとして、その企業が新たにSIMサービスを始めたとしたら、そのタイミングで乗り換えるような方も今後は増えるかも知れませんね。
2018年3月にIIJが提供を開始した「フルMVNO」は従来のMVNOと違い、更に独自性の高い柔軟なサービス提供が可能なんだ!それにより国内外での利便性が高まったり、スマホやタブレットだけでなくIoT分野での応用も期待され、正に無限の可能性を秘めたサービスとなるだろうな!
素晴らしい未来ですね! これからが楽しみです!
SIM トリビア その10
ハヤSIM、SIM太郎についてのプロフィール、および2人のキャラクターはすべてフィクション。
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